第二十四話「違和感」 ページ25
「……どうなってんだ……?」
思わず零れた言葉には荒い息遣いが混ざっていた。
この廃病院、先に進めば進むほど呪霊の量が多くなっていくのだ。強さも比例して強くなっていってる。
何かがおかしい。
足を進める度に足取りが重くなり、胸が苦しくて呼吸が上手く出来ない。まるで質量を持った空気が胸にのしかかっているかのような感覚だ。
空気感が廃病院に入った時よりも明らかに重くなってきている。この先に一体何がいる?この感じ、今まで対峙してきた呪霊よりもはるかに強い。
呪霊はある程度祓った。一度引き返して報告するだけでも十分なんじゃないか?そうと決まれば、と私は重たい足を動かして来た道を戻ろうとした。
後ろから何か聞こえた。
瞬間鳥肌が全身を駆け抜ける。
肺が苦しい、いや痛い!!全身が重たくて上手く動かせない。何かが後ろにいる、でも振り返れない。足が震えてすくみ上がる。
すると上着の背を掴まれた。
瞬間物凄い勢いで後ろに引っ張られた。身体が宙に浮いて空気圧を背中に直に受ける。突然の事に思考が止まり、パニックに陥った。
暗い廊下を通り抜けた先、突然視界が明るくなった。と同時に背中が強く打ち付けられる。
カハ、と肺の空気が押し出されるように漏れた。そのままズルズルと落ちて激しく咳き込む。どうやら壁に叩きつけられたようだ。
息をしないと死ぬ。口を大きく開けて息を吸おうとするが、肺が圧縮されたかのように上手く吸えなくて涎が口端から零れる。
「おや、これはこれは」
ふと、声が頭の先から聞こえた。項垂れていた首を上に上げると揺れる視界の先に人影を捉えた。
「こんにちは、呪術師のお嬢さん」
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人造人間名無し号(プロフ) - りり兄さん» ありがとうございます!マイペースに更新していきます! (10月31日 7時) (レス) id: 302ec2dd68 (このIDを非表示/違反報告)
りり兄(プロフ) - 最高です!!まじ応援してます!更新がんばってください…!o(^-^)o (10月30日 14時) (レス) @page37 id: f01e3b9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人造人間名無し号 | 作成日時:2023年8月25日 15時