【呪術廻戦】モブ顔オタクのトリップ話 (ページ17)

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第十六話「最初はグー！！(ゴ○さん)」ページ17

｢だァアアアアア！！！！！！｣

咆哮しながら自分の身を守るために咄嗟にとった反射的な動作。勢いよく蹴り上げた右足が奴の鳩尾に綺麗に入って、ゴキンと良い音が鳴り奴の身体が宙を舞う。すぐに体勢を立て直し握りしめた拳には、ただ純粋な怒りが込められていた。
奴の頬に狙いを定めて振りかぶる。

｢お前の顔ォ…怖いんじゃァァァァァァい！！！！｣

私の右拳は空中に青い弧を描き、女性の左頬に直撃していた。

女性は殴られた箇所から文字通り弾け、刺さっていた小刀はその場に乾いた金属音を立てて落ちた。呆然と肩で息をしながら握りしめた拳を見つめる。いつの間にか拳に籠っていた呪力は、すぅと溶けていくように消えた。どうやら感情が昂ったお陰で呪力が込められたようだ。

「……やれば出来るじゃないですか」

後ろから声が聞こえてくる。振り返るとナタをケースに戻す七海がいた。恐らく女性に飛びかかられた時に咄嗟に取り出したのだろう。ちゃんと助けようとしてくれたんだ、と失礼な事を考えつつも一応褒めてくれたことも含めて、嬉しさで笑みがこぼれる。

「さて、他の部屋も見ておきましょう」
「あ、はい」

そう言って部屋を後にする七海に生返事しか返すことが出来なかった。そうだ、複数体いるんだった……(絶望)
忘れていた事実に頭を垂れつつ、落ちている小刀を拾い上げる。落ちた際の刃こぼれは特に無いようで安心した。
というかこれ幾ら位の値段なんだろ……アニメで出てた三節棍とか、確か5億って言ってたよな……。
じゃあこれも……？

うわこっっっっっっっわ！？もし壊れていたらどうなっていたのだろうか……思わず背筋に鳥肌が立つ。
あまり考えたくもないので、急いで鞘に戻して七海の後を追った。