あの夏の日【及川徹】 (ページ16)

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願い12 ページ16

及川のところに急いで戻る

まだ帰ってないよね？日誌書いてるって言ってたしね…

教室に入ると誰もいない

「……………え？」

アイツ、帰った？

つか部活あるんじゃないの？サボり？

って、そうじゃなくてっ

及川って分かったんだから
あいつに聞きたい事沢山あるんだけど…

今から走れば追いつくよ…ね？

急いで荷物を持ち下駄箱まで向かう

靴に履き替え全力を振り絞って走った

こんなに速く走ったの久し振りだなぁ

「はぁっ、はぁっ、っ…ふ」

汗とか髪型とかそんなの気にせずただひたすら走った

暑いなぁ…あ！アレはっ、

「ぉおおおぃいいかぁあわぁぁぁああ‼」
「え？ンブッ！！」

及川が振り返ったのと同時に私は及川にダイブした

その衝撃で2人一緒に転ぶ

「佐藤ちゃん？！よく追いついたね！？」
「はぁーっはぁっ、頑張った……ってか、何で帰ったの？」

及川は顔を紅くさせる

「いや、だってささっきの言い方だと…俺、佐藤ちゃんと付き合えるんだよね？」
「付き合いたい」
「…だよね」
「…嫌？」

「嫌じゃなくて、俺は助けたってだけで…付き合うのかなって、もっと他の俺を…佐藤ちゃんは見てくれてるのかなって思ってて……………そしたら分かんなくなっちゃって…帰っちゃった」
「私が及川と付き合いたいのはそれだけじゃないよ」
「え？」

私達は起き上がりしっかりと目を見て私は言った

「及川に毎日言われる好きも、にゃんこランドでの楽しかったことも、助けてくれたのも全部全部含めて及川が好き…」

及川は顔を赤くして笑顔を見せた

「本当に？今までの俺無駄じゃなかった？好きって伝わってた？」
「うん、まぁ最初はそう思わなかったけどね……………でも、嬉しかったよ」

「佐藤ちゃ……A…好き、大好きだよ、付き合って下さい」

松川の時とは違う、モヤモヤがない、ほんわかする

また目が熱くなる、涙が止まらないからかな？

大粒の涙がポロポロ零れ落ちてくる

「えっ？！佐藤ちゃんが泣いて？！」
「…っうっさいボケ」
「何か、嬉しい…」
「はぁ？！あんたSか？！」
「そうじゃなくて…俺のことで泣いてると思うと、嬉しい」

ボンッと顔が熱くなる

願いが叶った、夕日で照らされる私の涙はいつまでも止まらない

「A、ミサンガ取れちゃってる」
「え？」

本当に切れた

願いが叶ったからかな

私達はオレンジ色の街の中を手を繋いで帰っていった