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第四章 ページ5

一松side

……何、あれ。

意味が分からない、と俺は溜息を吐き、猫の柄の紫のシャーペンをすりと撫でた。


6つ子、となれば小遣いは当然少ない。

これは、自分で金を貯めて買ったもので、俺のお気に入りだ。


くるり、とそれを一回転。

それからその勢いでノートにシャーペンの先を落とす。



……ノートなんか、真面目に取る訳ないでしょ。



黒板に書かれた公式、重要事項だけをノートに書き込み、紫のマーカーで囲む。


これで俺のノート作りは終わり。

テスト前は、チョロ松兄さんの借りればいいし。

……いや、十四松はノート異次元状態だから。


一(……だっる。)

心の中でそう呟いて、ちらりと周りを見る。

シャーペンがすり減るんじゃないか、と思う勢いで文字を書くおそ松兄さん。

真面目に(たまにカッコつけたペン回しを繰り広げたりはするものの)、授業を受けるクソ松。

黒板とノートと、それから誰かを交互に見ながら、真っ赤な顔をしているチョロ松兄さん。

相変わらず何がしたいのか分からない十四松。

女子が持ちそうなチャーム付きのシャーペンで、丸文字を綴るトド松。



……3割がおかしい。

いつもと違い過ぎて反吐が出る。



そして俺はその魂胆であるともいえる方に、目を向ける。



……杉原 A、先生。

いや、教育実習生なんだからAでいいか。


溌剌とした声に、綺麗な文字。

板書はポイントごとに色で分けられていて、おそらく担任の教え方より上手い。

年齢のせいかもしれないけど。


まぁ、そんなことはどうでもいい。

……そろいもそろって、同じ奴に惚れるとか何なの、バカ?

しかも、先生って禁断の恋とかしたかったんだろうか。



一「心底どうでもいい……。」

十「一松兄さん何か言った!?」


後ろからの弟の声に、俺は振り返って口角を持ち上げると、


一「……いいや、この授業終わったら帰ろーかなと思ってね……。」

十「おぉー!

兄さん単位は大丈夫でっか!?」

一「……テストよけりゃどうにかなるでしょ。」


それだけ言うと、また元の体制に戻る。

窓から差し込む光が、眠気を誘う。


俺は、ノートに猫を一匹描いてから、そっと目を閉じた。



俺は恋になんて堕ちない。



――夢なんか、見ない。


黒兎

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設定タグ:おそ松さん , 学生松・逆ハー・恋愛 , 合作   
作品ジャンル:恋愛
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黒兎(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます!三人で頑張って執筆いたしますので、これからもよろしくお願いします〜 (2017年2月2日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
マロン(プロフ) - すごいです!面白いです!合作?頑張って下さい! (2017年1月31日 23時) (レス) id: bbaa515bc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クリームにゃん&みかタン&黒兎 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月23日 0時

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