不規則に変わる毎日と、変わらない君【🎲短編集】

変化　《紫》　続き ページ42

Aside

突然始まった、いじめ。

最初は簡単なものからだった。

悪口とかの、簡単なもの。

でも、次第にエスカレートしていった。

暴力は当たり前。

そして、初兎くんと関わるな。

私に出された１つの命令だった。

それさえ守っていれば、殴られたりすることはない。

だから、あえて冷たくしていたのに。

冷たくすれば冷たくするほど、関わってくる。

どうして。

…言ってないからか。

今日も、また問題を教えて、ってきた。

知ってるよ、本当はわかってるんでしょ。

わかりやすいよ。

まだ昼休みはあるか…階段にでもいようかな。

そう思い、人が来ない静かな階段へと向かう。

…やっぱり、ここは落ち着くなぁ。

お気に入りの階段に座り、ぼーっとする。

この時間が１番楽しい。

と、タッタッタ、と足音が聞こえてきた。

珍しい…こんなところに、人が？

あいつらには知られてないはずだから、違う人か…

でも、バレるのもな、と思い、階段を降りようとした。

「Aっ…！」

だけど、名前を呼ばれたから、降りなかった。

何度も何度も聞いてきた、優しい低音。

『初兎くん…』

振り返ると、ぜぇぜぇと肩で息をして、髪も乱れている初兎くん。

「A…１個、質問あるんやけど、ちゃんと答えてくれるよな？」

『まぁ…うん。』

初兎くんは「なら、」と私に問いかけた。

その内容は、私が今１番、聞いてほしくないことだった。

「Aは、楽しいん？」

―――楽しくないよ。

そう答えれたら、楽だった。

だって、楽しいわけないじゃん。

毎日、本当はずっと辛いんだよ。

でも私は、フッと笑って、答えた。

『なんで急にそんなこと聞くの？楽しいよ、毎日。』

笑って。

笑って。

…あれ。


「…じゃあ、なんで泣いてるん？」


つー、と頬に温かい水がつたう。

『こっ、これはっ…違くて…』

慌てて涙をぬぐうけど、ぽたぽた、あふれて止まらない。

「辛いんよな。無理せんでええよ。」

初兎くんが、泣く私に声をかける。

『辛っ…くないっ、よっ…』

ついた嘘は、最後までつき続ける。

泣きながらでも、私は嘘をつく。

「じゃあ、これ見てもそう言いきれるん？」

初兎くんが私の目の前に差し出した１冊のノート。

『なんで、それ…！』

交換日記。

なんで初兎くんが…

「悪いけど、中見させてもらったで。…辛いよな。」

初兎くんがノートをきゅっと握りしめる。

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