不規則に変わる毎日と、変わらない君【🎲短編集】

風邪　《赤》　Comet　続き ページ28

りうらside

Aが用意してくれた朝ご飯を食べながら、配信をする。

あ、そろそろ時間だ…終わらないと。

「じゃあ、おつりうらです！」

配信を切って、食器を片付けようと、立ち上がる。

その時。


ガシャンッ


何かが割れるような音がした。

あっ、A！？

俺は食器を一度部屋に置き、すぐに外に出た。

見ると、床で倒れてうずくまっているA。

近くに割れたマグカップがあるから、それが落ちた…ってことか。

すぐに駆け寄り、Aの肩を叩きながら聞く。

「A！？A！？大丈夫！？」

『あ…り、う、く…』

良かった、意識はある…

Aは顔を真っ赤にして、ぜぇぜぇと息をしている。

おでこに手を当てると、すごく熱かった。

「あっつ…こんなんでよくご飯作ったね…待ってね、運ぶから。」

俺はAの膝の裏と背中に手を回して、そのまま抱える。

自分の部屋のベッドに乗せて、とりあえず寝かせる。

「A、ちょっと待ってて。冷えピタとかいろいろ取って来るから。」

俺がAに言って、部屋を出ていこうとすると。

『行っちゃらめ…りうく、待って…』

…可愛い可愛い可愛い可愛い。

いや待て、本当に可愛い。

可愛すぎてヤバい。

何？え？うん。

「いやでも…あのね、良くならないから…本当、一瞬だから！」

そんなAをなんとか説得して、全速力で取りに行く。

えっと、冷えピタ冷えピタ…あった！


「A！はい！冷えピタと、薬も持って来た！」

辛そうなAのおでこに冷えピタを貼ると、「ひゃ」と冷たそうに体を縮こめるA。

「じゃ、薬。水飲める？」

『薬いや…』

フイ、と顔を背けるA。薬嫌だって言われてもね…

「ダメ！飲んで！良くならないでしょ！」

『いや…』

かたくなに退かないA。

どーすれば飲んでくれる…？あ！

俺は薬を口に含み、水も一緒に含む。

？を頭に浮かべているAの顔を手で固定して。

―――クチュッ

口にキスする。

わ、と驚いて口を開けたA。

そのまま、舌を使ってAの口に薬を押し込む。

…よし。

口を離すと、顔をもっと真っ赤にしているA。

「ね、飲めたでしょ。」

『飲めた、けど…』

そのまま、Aは顔を背けてしまった。

すぅ、と寝息が聞こえてきたから…寝たかな。

俺はそんなAの横に一緒に寝る。

サラサラした髪を撫でて、手を握る。


はやくよくなりますように。

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