不規則に変わる毎日と、変わらない君【🎲短編集】

しゃぼん玉。《水》　狐雪 ページ21

Aside

「しゃぼん玉ってさ、なんで割れるか知ってる？」

『え？知らないや。何でなの？』


ソファでお互いに寛いでいると、急にそう訊いてきたいむくん。

なんでしゃぼん玉なんだろう…


「しゃぼん玉ってね、膜をつくっている液が重力によって、底の方に溜まっていくの。それで、頂点の方が薄くなりすぎて耐えられなくなって、割れちゃうんだって〜。」

『へえ〜…知らなかった…。でも、なんで急に…？』

「ん〜、調べてたらAに教えたくなっちゃったから！」


そう言う彼は、“彼氏”なのかわからなくなってくるほどに、“可愛い”が勝っていた。

ふと、疑問が降ってくる。


『割れにくいしゃぼん玉ってあるじゃん？あれって、どういう原理なの？』


そう訊くと、またスマホに目を落とすいむくん。

たまに眉を顰めたりして、難しいんだろうな…って無意識に察する。


「え〜っ…とね、“界面活性剤”？…を入れると、水の凝集能力が落とされて、薄い膜がつくり、壊れにくくなる…らしい。」

『え〜、面白いね〜！界面活性剤が何かわかんないけど。』

「あ、僕も。」


そう言って、2人でくすくす笑う。

一通り笑った後、“界面活性剤”を調べようとスマホに目を落とした。

…とほぼ同時に、いむくんが声を上げた。


「あ、そうだ、今からしゃぼん玉やらない？」

『えっ！？別にいいけど…』


徐に立ち上がったいむくん。

ポケットから、百均でよく見るしゃぼん玉セットを取り出す。

…なんでポケットに？


「はい！しゃぼん玉液〜(ダミ声)」

『えぇ？wドラ○もん？』

「そう！初兎ちゃんの真似〜」


そんなくだらないことを話しながら、ベランダへ向かった。

いむくんから吹き具を受け取る。


『しゃぼん玉なんてやったの、何年ぶりだろ。小3かな…？』

「僕ね、高1が最後」

『去年じゃん！』


そう言い合って、またくすくす笑う。

子供の頃に戻ったみたいだった。

溶液につけていると、いむくんが口を開いた。


「…しゃぼん玉ってさ、もう何個か割れる原因があるんだって」

『え、そうなの？どんな？』

「空気中のチリとかホコリとの衝突、液の水分の蒸発でも穴が空いちゃうの」

『へ〜…しゃぼん玉って、そんな繊細なものだったんだ。』


ふーっ、としゃぼん玉をつくりながら言う。

8階のベランダから更に昇っていくしゃぼん玉。

太陽の光を反射して、虹色に輝いている。

しゃぼん玉。《水》　続き　狐雪→←依存系彼女♡《赤》(ヤンデレ注意)　如月まつり

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