不規則に変わる毎日と、変わらない君【🎲短編集】

私の幸せ〖青〗　如月まつり ページ11

ずっとずっと、私の隣で笑ってくれる。
何も取り柄のない私に優しく接してくれる。
そんな君が好きでした。


これは私の幼かった頃の話。私の父は漁師でした。ひどい雨の中も魚を釣るために毎日漁に出かけていました。その頑張りは皆が認めるほどでした。

しかし、幸せはいつまでも続きません。
母が病気で倒れてしまい、亡くなってしまいました。
母が亡くなってしまった父は幼い私のために一生懸命働いてくれました。
それが悪かったのです。

台風が接近しているなか、父は一人で漁に行きました。
「今日はご馳走食べような！」
それが父の最後の言葉でした。

父も母もいなくなってしまった私は孤児になってしまいました。
親戚は悲しそうな顔で私を孤児院に入れました。
正直、悲しいとは思っていないでしょうね。あの偽善者のことですから。

私はずっと父のことを思っていました。
いつも私のために頑張ってくれた、そんな父まで殺した神様は最低だ、と。

その時でした。運命が変わったのです。

「君、一人なの？君さえよければ家族になりませんか？」
そう、頭上から声が聞こえたときは幻聴かと思いました。

A「え？」

「君さえうなずけば、もう申請も終わってるし、家族になれるよ。」
上を見上げると、確かに女の人がいました。

A「わ、たし？」

「そう、Aちゃんのことよ。」
女の人は私に優しく微笑みました。
夢じゃないかと軽く頬をつねってみますが、確かに痛みはあります。

私は急いで首を縦にふりました。

「ふふっ。よかったぁ」
そっと私の髪を撫でてくれる女の人は心から私を迎えてくれている、そう確信できました。当時5歳でしたが、今でも鮮明に覚えています。



ある日のことでした。お義母さんの妹さんが結婚することになり、私も招待されました。正直、人が怖い私はお義母さんの後ろについて歩くだけでした。

妹「わぁ、君がAちゃん？よろしくね！」
A「ひっ…。」

急に声をかけられて驚いてしまい、お義母さんの後ろに隠れてしまいます。

お義母さん「ごめんね、ちょっとこの子人見知りだから…。ほら、挨拶しなさい」

A「…。Aです。」

妹「そっか、Aちゃん。怖がらせてごめんね？」
私は嬉しかったので急いで首を横に振ります。

うまく言葉がでないので、ニコリと笑います。すると向こうも安堵したように
笑ってくれます。

妹「向こうにAちゃんと同じくらいの年の子がいるから、行っておいで」


　

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