02.15年前 ページ4
────
沈黙を破ったのは、成瀬だった。
「…災厄は、途中で止まるはず。15年前だって、災厄は途中で止まった」
「なら、その方法が分かれば…災厄は止まる」
2人は目を合わせ、また黙り込む。災厄を止める方法が分からないなら、その考えは役に立たない。15年前の3年3組の、生き残った生徒なら何かを知っているだろう。身近にその生徒がいれば、の話だが。2人とも思い当たる節はない。轟の姉、轟 冬美も、成瀬の兄、成瀬 千遥も、15年前の生徒でも、3年3組でもはないために聞く意味はない。
「……そういや、前の3年3組は旧校舎を使っていたらしいな。その旧校舎に行けば、何かしらの手掛かりは見つかるんじゃねえのか？」
轟の名案で、旧校舎の3年3組に行くことにした。3年3組は2階にあるが、旧校舎の2階からは立ち入り禁止となっており、バレたらタダでは済まないだろう。凝山中学の制服を身にまとった轟と成瀬は出来るだけ目立たないように、裏口から侵入した。教師の姿は見えないため、大体は職員室にいるのだろう。
本校舎と旧校舎は少し離れていて、本校舎の職員室から旧校舎は見えない位置にある。旧校舎の入口前まで着てみると、そこには大平の姿があった。
「……桐也か？そこで何してんだ？」
「……あぁ、轟と成瀬か。驚いたよ、てっきり先生かと思ってね。……俺は旧校舎に、災厄を止める手掛かりがあるのかな、と思って。君達は？俺と同じ理由かな？」
大平と轟と成瀬。居ないものとして大平を扱うのも、意味がないと思え、3人で旧校舎を探索することにした。立ち入り禁止の札を潜り、1階よりも埃が積もった2階へと足を踏み入れる。
3年3組の教室は、酷く荒れていた。
窓ガラスもヒビが入っていて、机も椅子も埃まみれだった。ところどころ、教卓らへんに、乾いた血が付着していた。まるで誰かがどこかを刺して飛び散った血のようなーー。
それでも、3人は探し始めた。15年前の災厄を止める手掛かりを。机の中、教卓の中、椅子の下、ロッカーの中、掃除用具の中。しかし、どこを探してもそれらしきものは見つからない。見つかったのは虫の死骸、生徒が使っていたであろう消しゴム。それだけだった。
今回の成果は特になく、また次回、探す手掛かりを見つけたら集まる、ということになった。
────
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミスト | 作成日時：2018年3月18日 21時
