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そこは思っていたよりもはるかにやわらかい空気でさっきまで固くなっていた自分が馬鹿馬鹿しく思える
香ばしいコーヒーの香りがカラカラと豆をする音とともに飛んでくる
案内されたのは1番窓側の席。二人で向かい合わせに座り店員さんが運んできたほんのりレモンを感じる水を飲む
『何頼もうかな…』
「ここのコーヒーはやっぱり飲んでおきたいよねー」
メニューとの睨めっこ。そこには店員さんが手描きでかいた可愛らしいパンケーキのイラストやジューシーなサンドウィッチのイラストなんかが描いてあって絵を描くことが好きなAは周りの人以上に目を輝かせた
今度本でも読みに一人で来てみようか
「〜じゃあお願いします」
『注文ありがとう』
「大丈夫大丈夫」
『ここ凄くいいね』
「先輩が絶賛してたのも分かるね」
『先輩?』
「あぁ、さっき話した昔の知り合いのこと」
『どうして先輩なの?今の大学三年じゃ中高で一緒になる事はないし…』
「Aはさぁ本当に覚えてないの?」
『え?』
「まえ…。前世のこと」
『笹山くんには前世の記憶があるの?』
「珍しいだろ?でも言ってしまえば伊助や庄左ヱ門にだってある。」
『そうなんだ…』
「あれ?その様子じゃあんまり驚いてない?」
『実を言っちゃうとそうなんだ。私、中学校に入ったあたりから変な夢を見るようになって』
「うん」
『その夢の内容が自分がただ真っ暗闇の中足を引きずって歩いているだけなの。怖くて頭痛がして眠れない。それを担任だった先生に話したら前世の記憶なのかもって言われてさ』
「それ、信じてたの?」
『私、元々そういうのは信じたくないけど信じちゃうタイプでね』
「そういう事…」
これはいける。兵太夫は確信した。ここまで来ているのならばAは思い出してくれるかもしれない。
もしかしたらその夢にはかけている部分があるかもしれない。それさえ分かれば絶対に思い出してくれる。
いつの間にか運ばれてきていたコーヒーをグビっと飲み込み兵太夫は一人ででもAの記憶を取り戻そうと決めた
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ぶつあん - 今さらですがご覧上がりましたとてもおもしろいです!更新楽しみにしております (2022年12月8日 22時) (レス) @page18 id: 661d7579e0 (このIDを非表示/違反報告)
奈々みん - これからも、是非頑張ってください (2021年7月20日 12時) (レス) id: e596c1640d (このIDを非表示/違反報告)
Haru - お久しぶりです!何回も読んでしまいました!コメントへのお返事ありがとうございます!これからも読み続けます! (2019年8月21日 0時) (レス) id: 8f2c20095f (このIDを非表示/違反報告)
hina hihoho2(プロフ) - haruさん» これからもどうぞ宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 23時) (レス) id: 54a67b7290 (このIDを非表示/違反報告)
hina hihoho2(プロフ) - haruさん» 大変嬉しいお言葉、有難うございます。実は今別のジャンルの界隈にいる事が多くRKRNの方に中々手がつけられていない状況にいました。ですが折角コメントを頂いたのでこの際久々の更新を近々しようと思います。相変わらずの亀更新だと思いますが (2019年7月8日 23時) (レス) id: 54a67b7290 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hina hihoho2 | 作成日時:2018年7月19日 19時