この目まぐるしい世界は2

34 ページ5

────────



嫌われちゃったかななんてあとから後悔してももう遅い。あっという間に家の前だ。
カバンの中を漁り鍵を見つけると鍵を開けうちの中へ入った。

親が気を使ってつけっぱなしにして行ったのか部屋の中はクーラーで程よい涼しさになっていた

いきなり疲れがどっと出てソファーに飛び込もうと思ったその時インターフォンがなる



『誰だろう』



のそのそとその人が映し出される液晶に目をやればどこかで見覚えのあるような顔がいた
確か…




『笹山くん？』




────────



『どうしたの？』
｢親戚の家が近くにあってさ、Aの苗字と同じ苗字の表札があったからもしかしてと思って｣


『すごい勇気あるね』
｢勿論でございます｣



Aの脳内とっさにそう言えば笹山さんってこの近くにいたかもと思い出す
そんな事よりもAは兵太夫の根性の強さが羨ましい
実は彼とは旅行で会ったものの会話したのは自己紹介の時だけだったのだ
しっかりとした会話を交わすのは初めてかもしれない
彼のあだ名は今日から『勇気100％』に決定。
これ絶対。



｢それよりさ、これからちょっとよる所があるんだけど付き合ってくれない？｣
『よるところ？』


｢そう。と言ってもここから最寄りの駅なんだけどね｣
『うん。大丈夫だよ』



最寄りの駅ならばと疲れていながらも了承する
急いで支度するからとさっき投げ捨てたカバンを拾い、携帯を持ち外へ出る

行こっかとの兵太夫の合図と共に二人は歩き出した




────────

35→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す