僕の隣に君がいるから (ページ21)

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孤爪研磨ページ21

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『研磨！ご飯だよ』

｢待って、ここのボスがしぶとくて…｣

『いや知らん』

｢えぇ…｣

『せめて私でもできるやつに…じゃなくて！ご飯なんだってば』

セーブの為に5分だけ待ってあげる私、偉い。

セーブが終われば猫背になった体を食卓へ促す

私はゲームなんて全く出来ない
できたとしても太鼓のやつか動物が森にいるやつ
赤と緑の兄弟のゲームは基本的に体全体でやるタイプだしRPGは勇者が攻撃された時に自分も痛いと感じるほどの重症
つまりは向いていないのだ

本当は一緒に出来たら楽しいんだろうけれど

そう、私の仕事は彼の生活リズムを整える事。
まぁそれはそれで楽しいのでいいんですけども

｢いただきます｣

『はいどうぞ、』

｢これ美味しい｣

『やった、それちょっと冒険だったんだけど良かった、口にあったみたいで。』

そんな生活の中でつくづく感じるのは研磨は本当によく笑うようになったなという事

高校時代なんか基本的に無気力で表情が乏しいイメージだったのでそんな彼が頻繁にわくわく顔や嬉しそうな顔をするのは本当に嬉しい
あれかな、やっぱ日向くんと会った時辺りかな。

『研磨、変わったよね。』

｢え、そう？｣

『うん、よく笑うようになったし色んなことを楽しそうにやるようになった。やっぱ日向くん影響？』

｢確かに、翔陽に会ってからまわりの進化の楽しさとか面白さとかそういうのが分かるようになってきてゲーム以外の事も案外良いもんだなって思うようになったかな。｣

『黒尾さん、あの研磨がって感動してたよ。日向くんさまさま』

｢クロそんな事言ってたの…｣

『言ってた』

進化か
私、研磨と出会ってから進化とかしてるのかな。
日向くんみたいに次から次へと目標があるわけでもなければこれといって夢もない
どうしよう、私ゲームも出来ないし進化もない退屈人間かも。

『研磨は』

｢何？｣

『私といて楽しい？』

唐突に不安になってそう聞いた

｢？当たり前じゃん｣

じゃなきゃ結婚しない
案外あっさりと出たその言葉にびっくりした
研磨ってあんまりこういうこと言わない人かと思ってたから

｢Aの表情がコロコロ変わるところとかその日にあった些細な出来事とかを楽しそうに話してくれるとこ、俺、嫌いじゃないよ。｣

『ふふっそっか』

こんな風に言われる日が来るなんて思ってもいなかったからちょっと黒尾さんに自慢してみようかななんてなんだかウキウキした
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