実.況してみた【実.況者】 (ページ34)

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実況34 ページ34

「お、おわったー！」

控室に戻るなり、まだハイテンションの私は未だ出したことのないような声で子供のように帰ってきた。

「子供みたいだな。」(笑)
「…なんか楽しくなっちゃって、ね？」(笑)

後ろにいた牛沢が控えめに笑いながらこちらに話しかけてきた。
会ったことが少ない牛沢にも見せたことがない一面はたくさんあるわけで…。

「そうかよ、ま、楽しめたんなら良かったんじゃね？それに…。」

一瞬、悲しそうな顔を見せ、語尾をつまらせる。その表情に何かあったのかと聞こうとしたが聞いてはいけないことかもしれない。

しかし、鈍感な私はこの時何も気付かなかった。

「それに…？なんかあったの？」

「いや、なんでもねぇよ。また、一緒に実況しような。」

すぐに笑った顔に戻し、男にしては小柄な牛沢に頭をぽんっと撫でられた。
少し、というかかなり前からの付き合いの牛沢にこうされるとなんだか心が安心する。

「うん！ありがと、牛沢。」
「おう、そういえばキヨ達帰ってこねぇな。」

牛沢がその言葉を放った途端、ちょうどよく扉が開く。
レトルトさんとp-pさんは飲み物と食べ物を少し持ってきていて、キヨは上の空といった顔だった。

「お、気が利くねぇ、レトルトとp-p。ってかキヨお前なんもしてねぇじゃねぇか。」(笑)

「いいんだよ！トイレ言ってたんだよ！」

仲の良い四人は、コラボとかも多くしていてすごく和やかな雰囲気だった。

今回はゲストとして入れってもらったまでだけど自分が入る隙間なんかない感じがして少し寂しさがこみ上げる。

「…？柳ちゃん、どうかした？」

「っえ、なんもないですよ？p-pさん。」

ぼーっとしているときに声をかけてくれたのはp-pさん。
手にはパックのお茶とちょっとしたお弁当。

「嘘、なんか楽しくなさそうな顔してたから何かあったかなって。

お腹でも空いてるかと思ってね。」

はいこれ、と付け足し私の空いた両手にお茶とお弁当を持たせてくれて。
透明なパックに入った市販の唐揚げ弁当は、食欲をそそるものばかりだった。

「あ、ありがとうございます。」

「どういたしまして。

ホントは唐揚げ弁当食べたかったけど、寂しそうな顔してる柳ちゃんにあげるよ。」

マスクをしているからわからないが、すごく笑っているように見えた。
それに、お弁当を握らされている手も包まれていてなんだか不思議な感じがする。

ちょっと不安が晴れた気がした。