実.況してみた【実.況者】 (ページ3)

今日:6 hit、昨日:25 hit、合計:19,515 hit

実況3 ページ3

昼休憩になり、すぐさま休憩室に入った。

あの後副店長は店長に連絡をしたにも関わらず今日は来ないとのこと。

しかも、副店長が伝言だと店長から頂いた言伝は最悪なもので。

「"今日は特別メニューで前々からAさんが試作品として作っていたラテをお出ししたらどうだい…？

常連さんには申し訳ないですが、って感じでお詫びのチーズケーキでもいいし。後は頼んだ"とのことです。

ぐっどらっく。」

長い長い、店長からの言伝を貰い哀れみな目を向けられた私は来る常連さんの為にチーズケーキを作り、ラテの準備をしていた。

結局、良い人ばかりだったが頭を深々と下げ商品をお出しした。

只でさえ、風邪で頭がグワングワンするのに頭下げさせるとか、ニコニコしてる副店長変われ。

ずっとそう思っていた。

「お疲れ様です、Aさん。店長代理メニュー大変そうでしたね。」

あははと笑う彼は今朝遅刻しかけたバイトさんだ。

名前は、杉島くん。下の名前は知らない。

「うん、おつかれ杉島くん。」

ぐったりして、机に伏せている私は垂れてきそうな鼻水をズビーと啜っていた。

「あれ？風邪ですか？それとも花粉？」

声色からして心配してくれてそうな感じもするが年下に迷惑はかけたくないという自分の信念から首を横に振った。

「んー、わかんない。ま、なんでもいーよ。」

まだ、店長への恨みでアタマがいっぱいなので適当に流す。

「あっ、そうだ。一緒にお昼どうですか？

俺今日バイト全日なんすよね。」

ガサゴソとリュックから財布を取り出しこちらへ歩いてきていた。

その顔は妙にニコニコしていて、上機嫌そうだった。

*

近くのファミレスへ来るとお昼時なのか人で溢れかえっていた。

レジ付近へ行ってみると席は埋まっているは待合席では椅子が余っていないはで、かなり混雑しているようだった。

「お昼休憩、1時間だし他当たろっか。」

「そっすね。Aさん行きたいとこありますか？」

カフェの制服の上からパーカーを一枚羽織っているだけなのでとてつもなく寒い。それに歩きなので、なるべく近いところが有難い。

「近いところがいいかな、杉島くんは？」

待ってました、と言わんばかりにぱあっと表情を明るくさせ私の腕をとり走り出した。

「俺、行きたいとこあるんすよ！行きますよ！」

.

着いた先はかなり古びたカフェのような場所だった。