After*1 Kiyo's day ページ1
Side.貴方
ある日の仕事中。
「…あ、あの？すみません注文いいですか？」
「…はっ、はい！申し訳ございません。注文承ります。」
ぼうっとしていると、お客様から声をかけられ地味に失礼な態度を取ってしまった。
ああ、つらい。
何がって？そりゃもちろん、
「…おいおい待てってめっちゃ可愛くね？！」
「いや、本人の前でそれ言っちゃ恥ずかしいって。」
ご覧のとおり、キヨ氏とレトさんが来ているのです。
一番窓際の席に座っていて、来店してからかれこれ数十分経っているのだ。
注文していた品はウチの店オリジナルのコーヒーとケーキ。
ってあれ？
キヨってコーヒー飲めないんじゃなかったっけ？
勿論、手が空き、お皿を拭きながらそちらを向いているとケーキを食べているのはレトさん。
コーヒーはキヨの近くにあった。
そんなことを考えていると辛さもなくなった。
好きな人が近くにいてくれるのは有り難い。だけど、今日は杉島くんがいるから出来れば話しているのを見られたくない。
「…すいませーん、店員さーん。」
「あっ、はい！どうかなさいましたか？」
レトさんに呼ばれる。
ケーキをきれいに平らげてある皿をお盆に乗せ注文を伺う。
「…ケーキおかわりと、お砂糖とミルク貰っていいですか？」
「畏まりました。ケーキは先程同様のもので構いませんか？」
その問いかけに、うんうんと大きく頷くレトさんにコーヒーをじっと見つめるキヨ。
先程までの元気がなくなり目も合わせてくれない。
*
結局今日は仕事に身が入らず。
注文も全て他の従業員さんに任せてしまった。
「…あれ？Aさん、元気ないっすねぇ。」
「あー、うるさいうるさい！お疲れ様！！」
休憩室で帰れる状態にしてから、出ようとしたところタイミング良く杉島くんが入ってきたので直ぐ様出る。
厄介なのに絡まれるといいことがない
裏口から出て、正面入口へ出てみるとそこにはキヨが壁に寄りかかりスマホを弄っていた。
「あ、あれ？キヨいたんだ――」
「――おっせぇ、待ちくたびれた。暫く会えなかったから充電させろ。」
こちらへ歩み寄り、私を強引に抱き寄せる。
薄暗いためか、キヨの顔ははっきり見えないがきっと怒っているのだろう。
「ごめん、キヨ。」
「んーん、別に。俺も急に口悪く言っちまってごめん。」
そう言ってへらりと笑う。
二人で私の家へと足を進めた
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作者名：ゆずぽんぬ | 作成日時：2017年7月26日 17時
