episode 198 彼の思惑 ページ48
※ﾐﾝｷﾞｭside
「ミンギュにはわかんないよ、、、俺がどれだけルカのこと想ってるか」って、まるで呪文でも唱えるようにしつこく呟いていた親友は。
ある日を境にその名前を出さなくなっていた。
グループ内で何かトラブルがあったってことは聞いていたけど、俺はジョングクに聞こうとはしなかった。
聞いてはいけないような気がしたから。
会社中には異様なくらい気まずい空気が漂っていて、関係のない俺たちまで萎縮してしまいそうなほどで、、、
ﾐﾝｷﾞｭ「なぁジョングガ、、久しぶりに一杯どう？美味いお店見つけたからさー、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「ごめん、、、今日もリハーサルとかあるから。また誘ってよ＾＾」
ﾐﾝｷﾞｭ「あっ、、そっか！悪い、、、じゃあまた今度な」
見るからに暗いオーラを纏って、大きな瞳からは光は失われているジョングクは、長い廊下を独り歩いて行ってしまった。
あんな状態で、、、本当に大丈夫なのか？
親友なのに、何もできないのがもどかしい。
そんな夜だったんだ、、、彼女と出会ったのは。
お節介かもしれないけど、ジョングクの為に彼女に協力してもらおうって下心で近づいたのに、彼女はジョングクのことを知らないの一点張りで。
「、、人違いだったのかなぁ」
でも彼女が落としていったパスケースには名前もちゃんとあったし、ジョングクが話していた通り、日本人だった。
それでもジョングクの事を知らないと言う彼女の言葉に嘘があるとは思えないけど。
もしかして思い出したくないほどのことがあったのか。
想像を膨らましては彼女の落としたパスケースをなぞって。
きっと今頃困ってるだろうな、、、この住所はもしかして職場？
明日行ってみようかな。花屋さんなら買いに行ったついでみたいにすれば誤魔化せるだろうし。
案の定、突然押し掛けた俺に驚いていたし、何なら軽くあしらわれたけど、強引に夕飯に誘った。
、、、ジョングクが言ってた通り、彼女は芸能界に疎いから俺のことを芸能人とは全く気づいていないっぽい。
だからなのか？、、自然に気取らずに話すヌナの空気と温度に心が緩んでいく。
無表情だったのにどんどん声を出して笑ってくれるようになったり、急に涙を見せたり、、、そんなヌナを、可愛い人だなんて思った。
、、俺はジョングクの為にヌナに近づいたのに。
目の前のヌナとの時間を少しでも多く感じたいって思ってしまったんだ＿＿＿＿＿＿＿＿＿、
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作者名：Apple | 作成日時：2023年1月19日 1時
