episode 192 孤独な女の末路 ページ42
排気ガスとアスファルトの匂いに、流れ込む人の波。
今日も沢山の人が行き交うこの街に、結局残る事を選んだ。
大切な人を失ってしまった虚無感に苛まれて自暴自棄になってしまいそうな時もあったけど、別れた直後の私はそれ以上に思い出を捨てきれなかった。
シャボン玉みたいに、思い出しては容易く消えてしまう。
そんな尊くて優しさで溢れた時間。
あれからすぐにBTS内で起こった不仲説は沈静化して、改めて芸能界の力と怖さを知ったような。
・・・・あんなに近くにいたのに今では嘘みたい。
一生触れることの出来ない彼を想っては沈んでいく心は、段々私の記憶まで書き換えていった。
「もう私には、関係ないんだ、、、」
どんどん薄れてく、、、テヒョンの声も感触も全部＿＿＿＿＿＿＿＿、
ルカ「ありがとうございましたー＾＾」
あれから客として何度か訪れたフラワーショップでスタッフを募集しているのを知ってすぐに問い合わせをした。
そんなに広いお店じゃないけどお店の雰囲気も良いし、何より美しいものに囲まれて仕事が出来るなんて最高だって思ったから。
日本人だから、って少し不安もあったけど、丁度日本語が話せるスタッフが欲しかったらしい。
ｵｰﾅｰ「ルカさんお疲れ様＾＾ この後どう？飲みに行かないか？」
ルカ「お疲れ様です＾＾ すみません、、、今日はこの後予定があって、」
ｵｰﾅｰ「ああ、、そっか！わかった＾＾ 気をつけて帰って」
ｽﾀｯﾌ「えー、、ルカさん今日も欠席？色々喋りたかったのに〜」
ルカ「ごめんなさい！お先に失礼します＾＾」
本当は予定なんてない。
お店の人達は皆親切で優しいけど、必要最低限の会話しかしない私は愛想のない女だってどこかで陰口を叩かれても仕方ない。
他人から逃げるように、人との関わりを極力避けるようになってしまった。
大丈夫、孤独には慣れているから。
寂しくなんてない。
コンビニで買ったビールとおつまみを片手に、何だか家に帰るのが億劫で急遽、川沿いで晩酌。
「乾杯ー、」
「ねぇお姉さん、、、一人？良かったら俺らと一緒に飲まない？」
ビールに口をつけた途端、酔っ払ってる男の人に声を掛けられた。
「結構です。一人にしてください」
「何だよ、、、つれねーなぁ！」
やばい、腕引っ張られるっ、、、
「ちょっと！、、そこで何やってるんですか！！」
え、、、誰？
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作者名：Apple | 作成日時：2023年1月19日 1時
