episode 172 仮面の下の狂気 ページ22
きっと全部、悪い夢だ。
だって私の知ってたはずのユンギさんは仲間を裏切るような、こんな非情な人じゃない。
そう信じさせて欲しかった。
なのに、、、
断片的にしか覚えていない記憶の中のユンギさんは。
狂気に満ちた顔を私に向けて、ひたすら体を貪っていた。
こんなの嫌だ、、、頭ではそう思うのに、抗おうと精一杯の力を込めるのに。
体からどんどん力が抜けて、意識が遠くなる。
ルカ「やめて、、っユンギさん、、お願い、」
懇願しても止めるどころか深くキスをするユンギさんは微かに笑っていた。
まるで悪魔みたいに。
ﾕﾝｷﾞ「抵抗なんて無駄なこと、、、もうやめろよ、そろそろ効いてくる頃だ、」
ルカ「！、、ッ何、、したんですか、、」
ﾕﾝｷﾞ「、、少しだけ、細工をしただけだ、」
そう言って唇をなぞるユンギさんの顔が歪んでくのが見えて、そこからは覚えていない。
目が覚めた時はユンギさんのベッドの中だった。
とにかくこの部屋から出ないと、
隣で眠ってるユンギさんを起こさないように細心の注意を払って。
「、、ルカ、」
耳元から聞こえた低い声に心臓が激しく揺れる。
もう動けない、、、腕を絡めてベッドに引き戻された私は。
情けないほど恐怖で震えていた。
ルカ「どうして、、こんな酷いことしたんですか、、？、っ、ユンギさんはそんな人じゃな「俺はこんな人間なんだよ、、お前が思ってるような良い奴じゃない」
見えない刃物が肌と心に食い込むような感覚だった。
もうこの人は、私の知ってるユンギさんではないんだと。
いや、、、本当の彼って何だっけ。
何も知らなかったのは私の方だった。
ルカ「私は、、テヒョンを愛してます、、誰よりも」
ﾕﾝｷﾞ「知ってるよ、、、だから何？俺には関係ない、」
悪びれることなく、渡しそびれたと言った鍵を首にかけてきた。
ﾕﾝｷﾞ「これは俺だけの作業室の鍵。週に３回必ず来い。そうだな、、掃除のバイトだって名目で、」
ルカ「行けません、、、そんな事したらテヒョンがっ、、、」
ﾕﾝｷﾞ「二人で裸になってるのをあいつが見たら、、、どうなるかな？、、さっきだって嫌がってる割によがってたくせに」
ルカ「っ！、最っ低、、、テヒョンは家族でしょう？」
ﾕﾝｷﾞ「、、、そうだな。でも俺はあいつが、、、テヒョナのことが、、、嫌いなんだよ」
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作者名：Apple | 作成日時：2023年1月19日 1時
