彼女は傷つかない２［BTS］ (ページ42)

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episode 92 明るい未来ページ42

シンヒさんの協力もあって、自分の身の丈にあった物件が見つかった。

７階建てマンションの５階の角部屋、南向きで日当たり良好。

オートロックじゃないのが残念だったけど、破格の家賃だし文句は言えない。

ここが今日から私の家。

BTSの宿舎からは少し遠いこの場所は、TREASUREの宿舎の目と鼻の先。

ここなら偶然彼らに出会ってしまうこともないだろう。

荷解きもそこそこに、コンビニで食料を調達に向かう途中でスマホが鳴った。

、、ジョングクからだった。

《ルカ、大丈夫？ちゃんとご飯食べてる？、、少しでいいから声が聞きたい。よかったら返事ください》

冷え切った心がチクチク針が刺さるみたいに痛い。

ジョングクは何にも悪くないのにすごく申し訳なくて。

でも、、、ごめんね。

そっと届いたメッセージの画面を閉じた。

真っ直ぐなジョングク。

貴方にはこれからも変わらぬ幸せが訪れますように。

そしてどうか。

こんな私のことは早く忘れてね・・・

カーディガンのポケットに入れたままの彼らの部屋のスペアキーは、明日シンヒさんに返しに行かなくちゃ、、、

マンションのエントランスを歩くと、スラっとした人影がこちらに振り向いた。

ルカ「、ジフニ！？、、来てくれたんだ、」

ｼﾞﾌﾝ「連絡してからにしようと思ったんだけど、どうしても早くヌナに会いたくて・・・」

パーカーのフードを目深に被って丸い縁メガネを掛けたジフンは、人目もはばからずに私の手を握る。

ｼﾞﾌﾝ「どこか出掛けるところだったの？、」

ルカ「うん＾＾コンビニに何か食べ物買いに行こうかなって、、」

ｼﾞﾌﾝ「じゃあ俺も一緒に行ってもいい？、それでもしよかったらだけど、、、ヌナの家お邪魔してもいい？、」

ルカ「うーん、、まだ散らかってるけど、、それでも良ければ。笑」

「やった、、！」って嬉しそうに笑って、握った手の力がまたぎゅっと強くなるジフンが可愛くて。

つられて私も笑っていた。

近所のコンビニに入って、二人でおにぎりとお酒とおつまみを選んで。

帰り道では手を繋いで歩いて、今日仕事で起こったエピソードを面白可笑しく教えてくれるジフンの顔を横目に。

温かい気持ちに満たされていくことに気づいた私は。

自分が思ったよりも案外早く、失恋の痛みは消えてくんだろうなって思っていた。