彼女は傷つかない ２［BTS］

episode 91 置いてきた思い出 ページ41

彼らが海外へ出発してから二週間が経とうとしている。



私は使わせてもらっていた部屋の荷物を片付けて段ボールに詰め込みながら、そういえば元彼に捨てられた時はどうだったっけって。



今思い出すには時間が勿体なさすぎるから、、やめておこう。



テヒョンからもらったチェーンの切れてしまったネックレス。



もらった時はあんなにキラキラしてたのに、今は灰色にさえ見える。



ルカ「、、、さようなら、」



少し後ろ髪を引かれる思いだった気持ちを奮い立たせて。



物に罪はないんだけど、ゴミ箱に捨てた。





もうすぐシンヒさんが手配してくれた業者さんが荷物を取りに来る。




我ながら本当に荷物の少なさに感心したけど、家電を買い揃えないとって考えながら、前にナムジュンに突き返されたお金の使い道が出来たなって。




部屋を出る前に、、最後にリビングの大きなソファに座ると、いないはずの彼らの気配を感じてしまう。




苦しいことも、本当は楽しいって思えたことも。




全部ここに置いていこうって思ったのに。




今更鮮明に思い出しては、勝手に涙が流れた。




紛らわすようにつけたテレビには、偶然にも彼らの海外公演の様子が流れていて。



そういえばこうしてパフォーマンスをしてる彼らをちゃんと見るのは初めてだ。




表舞台でキラキラ輝いて、沢山のファンを魅了する彼らは、



本当にかっこよかった。





でもすぐに話題はテヒョンとミンジョンさんの熱愛報道に切り替わる。



ミンジョンさん側は、肯定も否定もなし。


SNS界隈では、ミンジョンさんがテヒョンと同じネックレスを付けてるとかバッグを持ってるとかで匂わせがあるみたい。



「Vさんはこの報道を一部否定されてるそうですが、、それにしてもお似合いのカップルですね〜」


テレビの進行役の人が話す内容なんて殆ど入ってはこなかった。




もう私には関係のないことだから。




ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ／




業者さんが到着したタイミングでテレビの電源を切って、部屋の戸締りの最終確認。




「ルカ、ちゃんと鍵閉めたか？」って。



ユンギさんの声が今にも聞こえてきそうに思えて、笑えてくる。





「お荷物はこれで全部ですか？」




ルカ「、はい。よろしくお願いします、」





逃げるみたいだけど、後悔はない。




あんなに心配してくれたのに最後話せなくてごめんね、


ジョングク、、







ルカ「、、お世話になりました、」

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