episode 234 傾く天秤 ページ34
私はまた、自分の方から茨の道に足を踏み入れた。
思考よりも体が先に動いて、彼の唇に触れた瞬間溢れ出した想い。
傷つけたくなかったなんて、今更ばかみたいな綺麗事を口にして。
こんな女の戯言だと、何の意味も成さないのに。
でもそれ以上に、目の前の彼の手を手離す方が怖かった。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「ルカ、もう一回キスしていい？」
ルカ「、、いいよ、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、、ルカの睫毛、、濡れてるよ」
ルカ「ジョングクだって、、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「あ、、ほんとだ。笑」
お互いの泣きっ面を見て急に可笑しくなって、涙で湿った空間に乾いた笑い声が広がった。
張り詰めてた胸の奥がどんどんじんわり温かくなって解けていく。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「俺のこと、、愛してくれる？」
ルカ「、、うん。好き」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「ルカ、、こっち来て」
私の手を引いてベッドに腰掛けたジョングクは、私を自分の膝の上に乗せた。
ルカ「ちょっ、、重いからやめてっ、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「軽いよ＾＾ ちゃんとご飯食べてる？」
ルカ「食べてるよ、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「ほんと？、、またルカが作ったご飯食べたいな、」
ルカ「、、今度ね」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、ミンギュにも作ってあげたの？」
ルカ「、たまにはね。、、、って、、あっ！」
いきなりベッドに押し倒したジョングクはあからさまに機嫌が悪くなった。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、ここはミンギュの匂いが沢山するね」
ルカ「何言って、、、んっ、」
私の口を塞ぐようにキスをしたジョングクは、ベッドのサイドテーブルに飾られていたフォトスタンドを伏せた。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、ごめん、俺我慢出来そうにない、」
私に覆い被さるようにきつく抱きしめたジョングクは、着ていたTシャツを脱いでしまった。
、、、ミンギュが部屋着用にって置いていたTシャツ。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、俺を愛してるって、言って？、、ルカ」
今はいけない。
ちゃんとミンギュと話さないとダメだって、拒否することも出来たのに。
ジョングクの甘い香りと柔らかい感触、荒っぽい指遣いに反応してしまう。
ルカ「、、っ、、愛してる、、ジョングクっ、」
吐息を吐く度にミンギュの香りが鼻を掠める。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「っ、、もう絶対、、離さないよっ、、ルカっ、、」
ごめんね、ミンギュ。
どうか私を、、、許さないで。
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作者名：Apple | 作成日時：2023年7月24日 10時
