彼女は傷つかない５［BTS］ (ページ32)

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episode 232 愛した記憶ページ32

どうして人生ってこんなに上手くいかないんだろう。

特別な幸せなんて望んだことはなかった。

ただ平凡でも細やかなものだったとしても。

愛する人と想い合って生きていけたら。

だけど私が好きになってしまったのは、決して愛してはいけない人だったんだって、何度思い知れば気が済むんだろう。

こんな自分が嫌になる。

こんなだから、全部忘れてしまいたかった。

だからジョングク、泣かないで。

貴方にされたこと、なかったことには出来ないけど。

全て思い出した今浮かぶのは、いつでも私を求めてくれて、心配してくれて、側にいようとしてくれた貴方だった。

テヒョンとの事だって一生なかったことには出来ない。

愛した記憶はタトゥーみたいに心の奥に刻まれて、また痛みをぶり返そうとする。

、、、でも、私ね。バカだから今更気付いたんだ。

テヒョンでもユンギさんでもなくて。貴方に。

だから尚更、貴方とさよならしなくちゃいけない。

握り締めた手をまた握り返して、ジョングクを見つめた。

長い睫毛は濡れていて、鼻先まで赤くしたジョングク。

ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「嘘だよね？、、さよならなんて絶対しないから！、っなんでだよ、」

ルカ「、、ごめんね、でもそうしなくちゃいけないの。私達は住む世界が違いすぎる、、だから」

ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、じゃあなんで、そんなに泣いてるの？」

目の前のジョングクがゆらゆら揺れて空間ごと溶けていきそうに。

、、、今夜の月明かりはやけに目に沁みる。

きっとそのせいだ。

ルカ「、、泣いてないよ、」

ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「嘘つき、、、ルカ、ルカは俺と出会ったこと、、後悔してる？」

今、一瞬だけ後悔した。

出会ったことをじゃない。

傷つけたくなかった人に、あんな顔をさせてしまったこと。

貴方に暗い顔は似合わない、ただこれからも笑っていてほしい。

だから誰からも歓迎されない女が側にいちゃいけないんだよ。

ルカ「後悔なんてしてないよ。本当に大切だった。」

ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、、ミンギュのことは？」

ルカ「やっぱりミンギュのこと知ってたんだね、」

ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、俺の友達だから、」

こんな気持ちのまま、ミンギュとはもう一緒にいられない。

それ以上にジョングクとミンギュの関係を知った今、別れ以外の選択肢はない。

それなのに、自分で決めたくせに。

この大きな温かい手を離したくないのは、私の我儘だ。