episode 230 夢の中の彼 ページ30
首筋に感じるのは、ジョングクの温かい体温と同じシャンプーの匂い。
私の体ごと包み込む大きな腕は、残酷なほどミンギュの感触とオーバーラップする。
ミンギュの残り香を纏うベッドで横たわるのは違う二人。
絶対に知られてはいけない。
朝を迎える頃にはなかったことにしなきゃいけない。
それなのに。
不規則に鳴る心臓は、この温もりを感じるたびに速くなっていく。
早く眠らないと、、、彼に悟られないように。
眠ったふりをして寝息を立ててみた瞬間、左頬に唇の感触。
尚更鳴り止まない鼓動に、漏れそうになる本音を隠すのに必死だった。
私の頬にキスをしたジョングクは、抱き寄せる腕の力をさらに強める。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、ルカ、愛してるよ、」
やめて、ダメ。こんなの許されない。
そう言い聞かせれば聞かせるほど募るのは、裏腹な想い。
薄く瞼を開けて視界に入ったのは、いつかふざけて撮ったミンギュとの写真だった。
屈託のない笑顔のミンギュに余計胸が締め付けられた。
申し訳なくて、失うかもしれないって考えたら怖くて。
ずっと離れないって、約束したのに、、、
ヒリヒリする感覚を纏う指先。
いつだったか封印した記憶の断片。
＿＿＿＿＿「ごめんね、ルカ」
以前うなされるほど見た夢で見た誰か。
、、あれは、きっと＿＿＿＿＿＿、
ルカ「、、、っ、、っ、」
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「、、ルカ？、、え、、どうしたの！？、」
何とか誤魔化そうとしたけど、涙を堪える事はできなくて。
ルカ「何でもない、、、大丈夫だから」
初めて見た時に気づくべきだった。
もう二度と出会っちゃいけない人だったのに。
絶対に思い出さないって決めてたのに、、、
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「その口癖、変わんないね」
そう言って無理矢理私の体を向かい合うようにしたジョングクは、顔を覆う私の手を解いた。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「ルカが大丈夫って言う時は、大抵大丈夫じゃない時だったから、」
頬を伝う涙を拭って、優しく笑ってから一瞬。
少し困ったような、悲しい顔をしたジョングク。
ジョングク、貴方も全然変わらないね。
こんな女のことなんてさっさと忘れてしまえば良かったのに。
ルカ「これ以上私と関わらない方がいい、だから二度と会わない」
ジョングクに精一杯放った言葉で、あの時のジョンハンの気持ちがわかった気がした。
こんな厄介な女は要らない。
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作者名：Apple | 作成日時：2023年7月24日 10時
