episode 214 俺の欲しかったもの ページ14
※ｼﾞｮﾝｸﾞｸside
「この飛行機はまもなく仁川国際空港に着陸いたします＿＿＿」
無機質な機内放送で目を覚ますと、窓から射す光が眩しくて目に沁みた。
ソロデビューに向けてのレコーディングや撮影で海外を行ったり来たりして、目まぐるしいスケジュールをこなしていく。
ﾏﾈｰｼﾞｬｰ「ジョングク大丈夫か？明日はオフだししっかり休むように！、これからまだまだ忙しくなるからな」
俺の顔を覗き込んでは気にするマネヒョンは、先日体調を崩してしまった事を気にしているんだろう。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「わかってます、もう無茶はしないよ」
空港で出待ちしてくれているARMYにも暗い顔は見せられない。
常に完璧な姿を求められる世界で、俺に逃げ場はない。
本当は辛くて苦しくて、悲しくて。
毎日ルカの顔を思い浮かべて押し潰されそうな気持ちに支配されては、やめていたはずの煙草に火をつけた。
最後に俺の目を見て笑ってくれたのはいつだろう、、、
こんなに好きなのに。愛してるのに。
どうして一番欲しいものは手に入らないんだろう＿＿＿＿＿＿＿、
折角のオフだけど、何処か行きたいなぁ、、、
「ミンギュ誘ってみるか、」
前に飲みに行ってからどれくらい経ったかな。
この前はつい俺の悲壮な愚痴ばっかり聞かせてしまったから、今度はあいつの近況も聞きたかったし。
ﾐﾝｷﾞｭ悪いジョングク・・・ちょっと予定があるんだ
ごめん。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「えー、、、そっかぁ。しょうがないな、」
親友に断られた俺はスマホを投げてベッドに倒れ込むと、荷解きも忘れていつの間にか眠ってしまった。
「おいっ！起きろジョングガ！！早くっ、、、これ見てみろ！」
そんな俺を無理矢理起こしに来たジミニヒョンは、心底焦ったような、驚いたような顔をして。
ｼﾞｮﾝｸﾞｸ「っん、、、何？ヒョン、、、っえ、、、は？、」
ｼﾞﾐﾝ「、、これ、、、ルカじゃない？、」
つい数時間前に配信されたらしいSEVENTEENの番組。
沢山の花に囲まれた一人の女性。
「本当にルカ！？、っ嘘だろ？、、なんでっ！？、、」
楽しそうに彼らと絡んで。
俺がずっと欲しかった笑顔を向けて、言葉と視線を交わす画面の奥の全ての人間に嫉妬した。
でもそれ以上に、俺は見逃さなかったもの。
時々目を合わせては恥ずかしそうな笑顔を彼女が見せていた相手は、俺の親友・ミンギュだった。
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作者名：Apple | 作成日時：2023年7月24日 10時
