episode 29 理性の狭間で ページ29
※ｼﾞｮﾝｸﾞｸside
宿舎でのんびりしていると、玄関の開く音と話し声。
ユンギヒョンとカスミヌナの声だってすぐわかった。
ヌナと話せるチャンスかもしれない。
寝癖のついた髪を整えてお気に入りの香水をひと吹き。
部屋を出てリビングに向かうとヌナがソファに座ってる。
男ばかりが座るソファだからサイズ感が大きいんだけど、小柄なヌナが座ってると、なんかとても可愛い。
俺よりもずいぶん大人なヌナに対して、可愛らしいなんて失礼かもしれないけど、それ以外に言葉が見つからなかった。
背後に回って声をかけると、少し驚いた顔をしたカスミヌナ。
何となくソワソワしてる様子のヌナだけど、すぐあの笑顔で先日はお疲れ様でしたって。
胸がぎゅーっと締め付けられる。
嫌ってほど思い知らされる、カスミヌナを好きになってしまった事を＿＿＿＿＿＿、
俺の中でどろどろした感情が押し寄せる。
ユンギヒョンは長い時間を共有してきて、家族同然で大切な人だ。
傷つけたらいけない。裏切ったらいけない。そんな事わかってる。
メンバーとしてのバランスも保てなくなる。
あの日ヒョンに宣戦布告してからすぐ、ヌナとユンギヒョンは付き合い始めた。
悔しいけど、最初は二人が幸せならそれでいいと自分に言い聞かせた、なのに、、、
ほんの少しだけ、少しだけだから、、、
ヌナに揺さぶりをかけてみる、
無理やりな口実でヌナの連絡先を聞いた。
、、、相談なんて乗れるはずないだろう。
でも何も知らない素直なヌナは受け入れてくれた、、、
わざと皆がいる前でメッセージを送る。
困った表情のヌナをすぐ笑顔に変えてしまうユンギヒョン。
ヌナと初めに知り合ったのが、どうして俺じゃなかったんだろう、
柄にもないおしゃれなバーだって、大人なヌナに少しでも意識してもらうためだった。
普段は行かないよ、あんなところ。
お酒の力を借りて、ヌナの事もっと知りたい＿＿＿＿なんて、
ずるい思考は心の奥の理性に押し戻される、
すぐに末っ子マンネキャラで無邪気な自分を演じて誤魔化す。
でもこれでいい、ヌナの俺に対する警戒心が緩んだみたいだから。
二人の間に入り込む余地なんてない、わかってるよ。
でも、諦められない＿＿＿＿＿＿＿＿、、
どうしたらいいんだ＿＿＿＿＿
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作者名：Apple | 作成日時：2022年1月3日 20時
