melt pure (ページ38)

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優しく繋いでいたはずの手が強く握られた

少し強引に引っ張られてその場から離れた。

『元太、ちょっと、』

強く握られた手が痛くて、元太に声をかけるけど

歩みを止めない元太

イルミネーションの場所から少し離れて人の目につかない建物の影で足が止まった。

『どうしたの元太、』

そう言うと元太は強く握ってた
私の手をそっと離した。

『元太、？』

「なんで、泣いてたの？」

『え？』

「さっき、泣いてたじゃん。」

そう言われて自分の頬を触ると
微かに濡れていた。

きっとあの光景を見て無意識に涙を流していた。

『これは、違くて、』

そう話す私の口を塞ぐように

元太が私にキスをした。

両手を壁に押さえつけられて

首や耳元にキスを落とす。

『ちょっと、元太、』

私の声は聞こえているようで
元太には、聞こえていなかった

首元に軽い痛みを感じて

同時に元太がキスを辞めた。

震えながら私にもたれかかる元太。

「俺、分かんないんだよ、Aが時々わかんなくなる、俺のAだよね、？」

弱々しく、少し涙ぐんだように私に語りかける。

『うん、そうだよ、ごめんね。』

そう言って元太を抱きしめたけど

海斗と見知らぬ女の子が二人でいる所を見て
胸が痛んだのも、無意識に涙を流したのも

紛れもない事実だった。

私たちだけの友情そう思ってたけど
海斗には別の子がいて、

私は、それが気に食わなかった？

自分でも分からなかった。

ハッキリとしているのは、

こんな中途半端な気持ちでいる自分が
すごく嫌だということだけだった。