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12 じゃあな。 ページ13

「あー、満腹満腹。」
「お前、めっちゃ食ったな。いつもより…」

あんなにいっぱいあったシチューはもう空っぽ。拓也はドン引き、父さんは驚いて、母さんは笑顔だ。

「こんなにひょろひょろなのに、こんなに食べるとは思わなかったわ。たくさん作ってよかった」

母さん、ちょーご機嫌。
いつもは父さんにやらせている皿洗いを、今日自分からやっていた。またまた父さん、ビックリ。

「お前、なんでそんな食うのにヒョロいんだよ。」
「うるせ。デブ。」
「デブじゃねーし!」

「また始まったな。」

いつもすぐ喧嘩。
けど、今日の喧嘩はなんか、イライラしない。
拓也も今日はすぐ、2階に行かない。そういえば、父さんも。すぐ書斎に行くけど、今日はずっと残っている。母さんも嫌いな皿洗いをしている。まぁ、それはただご機嫌なだけなのかもしれないけど。

ピーピーピーピー

アラームがなった。
このアラームは、俺が家を出る時間にセットしたもの。

「…そろそろ、行かねーとな。」

俺がそう言うと、拓也がちょっとどけ、悲しそうな顔をした。さっきまで笑顔だった父さんも、鼻歌を歌っていた母さんも、顔が暗くなっていた。

「ちょ、なんだよ。いきなり暗くなって。俺はただ学校に行くだけだ。それだけ。なんも心配することほないんだぜ?」

ちょっと、強がってみた。

まぁ、けど、あんまり効果はなかったけど。

「俺、もう行く。時間も時間だし。」

俺はそう言ってリビングを出た。

すると、父さんと母さんが付いてきた。
二人と心配そうな顔をしていた。

「…大丈夫だから。そしんな心配すんなよ。」
「絶対帰ってきてね。」
「千弥。待ってるからな。いつでも。」
「あぁ。」
俺はチラッと時間をみた。
8時半。
ちょっとやべーな。あんまり、ギリギリには行きたくない。あいつとの、時間も過ぎてる。

「時間やばいし、もう出るよ。じゃあな。」
そう言って、家を出ようとしたとき、
「まて、千弥!」
「…!」

拓也が呼び止めた。
「なんだよ。」
「絶対、帰ってこいよ。お前のまんまで。自分を責めんじゃねーぞ。なにがあっても。見捨てないといけないときには見捨てろ。切り捨てるこも大事な時がある。今はわかんねーかもしれないけど、始まったらわかる。自分を見失うじゃねーぞ。帰って来なかったら許さねーからな。」
「わかってるよ。じゃあな。バカ兄貴。」

俺は玄関をあけて家を出た。

「げっ、時間やべーじゃん!」

翔と待ち合わせした場所まで走っていった。

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作者名:yumito、gin x他1人 | 作成日時:2017年11月19日 13時

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