俺の母さんは兵士さんやった2 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:46,604 hit

55 ページ14

偶像side

おれは、ただの“心の入れ物”だった

ただのけっかんひん、かんじょうなんてない

だから、かなしいも、うれしいも、わからない

「、、貴方、一人？」

“、、、”

「私と一緒に来る？」

そういったのはおかしいにんげんだった

なにもしゃべらないおれをひろいあげて、あたたかいこえでいった

おいでって

「私もね、一人なの」

“、、、”

「皆私から離れていっちゃう。何でだろうね」

そんなのおれにきかれてもしらない

なのに、ずっとはなしてくる

ずっとおれのとなりで、えがおでいる

どうして？ひとりなんでしょ？

“、、、寂しくないの”

さみしいって、ひとりじゃかわんないんでしょ

そうおれがいっても、きみにはとどかない

えがおではなすきみには

、、、さみしそうなかおをするきみには

「ねぇ、晴天だよ。一緒にピクニックしよ」

「今日は一緒に本を読もうよ。きっと貴方も気に入るから」

「貴方と居るとご飯がとても美味しいの」

“良いよ。俺も外の景色を君と見たいから”

“本を読めば君と同じ感情を得られる？”

“君が幸せなら俺も幸せだよ”

君には届かない

でも、想い続けたんだ

寂しい目をする君を励ましたくて

一緒にいるだけで笑顔になってくれる君を願って

、、、でも、これは感情じゃない

これは、ただの願望、穢れた欲望

君には気付いてほしくない

君はあまりにも、純粋で、綺麗だったから

「流れ星に三回願い事を言うと叶うんだって。
凄く素敵じゃない？」

「、、、貴方は願い事があるの？」

「私はあるよ、とても大切な願い事」

そんな願い、俺が叶えてあげるよ

流れ星になんかに頼らないで

そんな偽りに、俺は惑わされない

“君は何を望んでいるの”

「私はね、、貴方と一緒にいること」

「お母様も、父様も、もう諦めたの」

「だって、貴女がずっと居てくれるから」

、、、その時、何故か暖かかった

ホットミルクを飲んだ訳でも

布団を被った訳でもない

心の内側が暖かくて、本物みたいだった

君が俺に願うならなんだって出来る

君は、俺に何かをくれたから