愛故に、狂い出す。 (ページ7)

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2人で近くの公園のベンチに座った。

近くの自販機でAがよく飲んでたブラックコーヒーとミルクティーを買った。

Aにブラックコーヒーを差し出すと、こっちがいいってミルクティーを取って、両手で握って暖を取っていた。

「大吾、大人っぽくなったね」

「…Aは変わってないな」

「…ううん、変わったよ」

あの後すぐ私結婚したの、そう続けたAの目にはまた涙が浮かんでいて。

ああ、そう言うことやったんや。

「ごめんね、…彼氏いたこと言わなくて」

あの日、Aと出会った日、Aは彼氏の家から飛び出してきた日だったらしい。

彼氏から日常的に精神的にも経済的にもDVをされていたこと、その彼氏から逃げることが出来なくて結婚したことを話してくれた。

「なんで、言ってくれへんかったん」

「高校生だよ？…言えるわけないじゃん」

「…告った時、…俺ん所に逃げてくればよかったやん…」

「そんな簡単には行かないの、」

暴力等はなかったらしいから、俺が気付かないのも当たり前、だけど、…俺がAと同い年くらいやったら、守れてたんかなって、悔しくて、苦しくて。

「でも、去年離婚した」

「え？」

「もう自由、今は幸せに暮らしてる」

「そうなんや…」

大吾がいてくれたから何とか生きれてたよ、そう言ったAは、またどこかに行ってしまうんじゃないかと思うくらい儚くて切なくて、…離れたくなくて、離したくなくて、Aの手を強く握った。

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