081 ページ33
.
「ご苦労さまです」
誠也と別れてもう半年になろうとしていた。
大阪に帰る理由もなくて、私はそのまま東京に住むことにした。
しばらくは実家にいたけど、やっぱり一人暮らしがいいなあと思って、結局家を借りて一人暮らしをすることにした。
誠也の家にあった私の荷物は丈くん伝いに全て実家に届くように手配してもらった。
丈くんにも和也くんにもたくさん迷惑かけてしまったけど、今のところは元気に過ごしている。
さすがに一人暮らしでニートというのはヤバいから、引越しが決まった時にバイトも探した。
もちろん、ネイルの勉強は今でも続けている。
「Aちゃん、手伝いに来たで〜」
「ありがと、忙しくない？」
「全然！余裕やで」
和也くんは今でも私のことを気にかけてくれて、よくご飯を作ってくれたり、遊びに誘ってくれる。
誠也と別れたあと、たくさん慰めて励ましてくれたのも和也くんと丈くん。
和也くんとは急激に仲良くなって、3ヶ月前くらいに遂に大橋さんやなくてちゃんと名前で呼んで！って言われてしまった。
今回も一人暮らしすることを伝えたら、手伝う！って言って聞かなくて、押しに負けて手伝ってもらうことになった。
「これ、引越し祝い」
「え、…ありがとう、開けていい？」
「うん、ええで」
和也くんから貰った袋には少し大きめな箱と小さめの箱が入っていた。
何となく、小さめの箱に入っているものは予想がついて、大きめの箱から開けることにした。
開けてみると中にはオシャレな卓上の加湿器が入っていた。
「乾燥するって言うてたから」
“ 最近すごい乾燥するんだよね “
“ 確かに最近めっちゃ乾燥するよな〜 “
こんな会話をいつかしたような気がした。
それを覚えててくれたんだ、そう思って少し嬉しかった。
「なあ、もう一つも開けて？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 332人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まぷ | 作成日時：2023年1月10日 18時
