色は思案の外 - 2 - (ページ31)

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「あ、Aちゃん起きたん？」

寝室のドアを開けたのは大橋さんだった。

「丈くんから夜中連絡もらってん」

「え、ちょっと、…え？」

「…ご飯食べる？俺が作ったのやけど」

「あ、…うん、食べる」

ダイニングテーブルに並べられた理想的な朝ごはん。

すごく美味しそうな匂いがして、途端にお腹が空いてきた。

「いっぱい食べてな」

きっと、丈くんから聞いて来てくれたはずなのに、大橋さんは何も言わずにただ一緒にご飯を食べてくれた。

ちょっとずつ口にするご飯が美味しくて温かくて、また涙が出そうだった。

「やっぱり実家帰ってたんやね？」

「…うん、言わなくてごめんね」

「ううん、会えて良かった」

ニコニコ優しい笑顔で私を見てくれる大橋さんを見たら我慢していた涙がボロボロと溢れてきて止められなかった。

きっと私今、めちゃくちゃみっともない姿でいるんだろうな、寝巻きにすっぴん、おまけに泣き腫らした目。

でもそんなことどうでもよくて、自分の心の方が大事だった。

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