色は思案の外 - 2 - (ページ27)

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誠也だった。

さっき電話してくれたのは誠也だった。

夜ご飯を食べてお風呂に入ったあと、自分の部屋に戻って携帯を確認したら聖夜からの着信が入ってて慌てて電話をかけたけど、出てくれなかった。

まだ、稽古中かもしれない、そう思ってベッドに横になってたらいつの間にか寝てしまっていて、携帯のバイブ音で目を覚ました。

「もしもし…」

『…俺』

「誠也、…」

『稽古中やって、ごめん出れへんくて』

「私もさっき出れなくてごめん」

電話越しの誠也は怒ってるわけでもなく、楽しんでるわけでもなく、穏やかな声色だった。

『…今どこおるん』

「……、」

『浮気相手のとこ？』

「なんでそうなるの…」

浮気相手って何？

私は誠也しか好きじゃないのに。

「さっきのことなら『無理やで』…え？」

『もうお前と付き合われへん』

「え、…何言ってるの、」

『別れる』

声が出なくて、引き止められなくて、電話が切れた後もその場から動くことが出来なかった。

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