044:kazuya ページ45
.
ああ、これだ。
前に感じた違和感、このせいだ、今思い出した。
やから、丈くんは、俺にやめとけって言ったんや。
「3年前から2人付き合っとって、一時期別れてたんやけど、この前俺が1人で店行った時、ヨリ戻したらしい」
「…やっぱ、Aちゃん、…Aちゃんに会いに行ってたん?」
「そうやで、…久々に話したかってん」
「丈くんは、好きなん?…Aちゃんのこと」
気になってた。
もしかしたら丈くんは、自分が好きやから俺に言わなかったのかもしれへん。
「好きやで、人としてな」
「…恋愛感情とかやなく?」
「恋愛感情は、…ないな」
「ホンマに?」
「うん、年上やけど妹にしか見えへん」
そっか、…ん?
「え、…待って、年上?」
「年上やで、末澤と同い年」
「え、ウソやろ」
待って待って待って、ずっと年下やと思ってた…。
いや、…どう見ても、年下にしか見えへんと思う。
「Aちゃんに言っとくわ、年下やと思ってたらしいでって」
「いやほんまにやめて?」
「…やっと笑ったな」
「え?」
お前マジで死んだ魚の目してたで、って笑いながら言う丈くん。
でも確かに、ちゃんと話を聞いて、気持ちの整理がついた感じがする。
「俺、諦めた方がいいんかな?」
「諦めることはないと思うけど、末澤は強敵やな」
.
261人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まぷ | 作成日時:2023年1月5日 22時