駄メンズになっちゃう【WT短編】

■ 俺のつよつよな奥さん / Na ページ49

｢A〜！今日､Aの作った甘いもの食べたい〜！｣

｢えー？じゃあ､明日買い物付き合ってくれる？｣

｢おっけ！交渉成立っ｣

休みの日､お昼過ぎにデザートのオネダリをすれば
仕方ないなぁって顔をした後に､可愛いお願いとの交換で
デザートを作ってくれる事になった。
結婚するまでパティシエをしていた奥さんの作るデザートは一級品で
時間のある時にオネダリしては堪能しているって訳

｢今日は何作ろうかなぁ…｣

冷蔵庫を空け､フルーツを適当に取り出しキッチンで頭を悩ませている
実はそんな姿を見るのも楽しくて邪魔にならない様に
カウンターキッチンの反対側から作業風景を眺める
よしっ､と声を上げたと思えばそこからはとても早い
計りで材料をパパっと揃え､混ぜ合わせ広めの鉄板に広げて焼いた後
細腕に似合わない力でシャカシャカと生クリームを泡立てていく
さすがプロ仕事が早い､できた生クリームにラップを掛け冷蔵庫に突っ込み
手早く数種類のフルーツをカットしていく､ボールに一纏めにされた
フルーツは色鮮やかでとても綺麗だ

｢Nakamu､そんなに見つめても摘んじゃダメだからね？｣

｢バレてたかーっ｣

｢こっち上げる！ほら､あーん｣

カウンター越しに差し出されるのはバナナに生クリームを乗せた奴
フォークに刺さったされをパクッと食べれば程よいクリームの甘さと
バナナの甘酸っぱさが凄く美味しくて､早く完成品が食べたくなった

香ばしい生地の焼けた香りがキッチンに広がる
生地を型から抜き､少し寝かした後
生クリームを広げ､カットフルーツを並べ上からも薄く生クリームを伸ばす
その後､生地をくるりと丸め上に粉糖を振りかければ完成の様だ

｢はい､完成ー！紅茶で良い？｣

｢紅茶は俺が入れるーっ､先に席座ってて！｣

｢ほんと？ありがとー！｣

完成したロールケーキをお皿に乗せフォークを二つ手に持ったAが
リビングに向かうのと入れ替えで俺が紅茶を入れてから席に着く

｢切るの面倒だったから､そのまま持って来ちゃったんだけど｣

｢Aのケーキが丸々食べれるなんてご褒美だけど？｣

｢Nakamuなら､そう言ってくれると思った｣

じゃあ食べよ？なんて声がかかれば
直ぐにフォークを突き刺した､甘さ控えめで軽い生クリームに包まれた
ジューシーなフルーツ､それを覆う生地も香ばしくて美味しい

｢んー､やっぱりAの作るデザート最高…独り占め出来るのが幸せ｣

こんな休日を過ごせる俺は世界一の幸せ者だ

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