駄メンズになっちゃう【WT短編】

■ 家事力つよつよお姉さん / Na ページ5

｢大丈夫〜っ､Nakamuは配信頑張ってねぇ｣


久方ぶりに自宅へと招いた彼女に促され
急遽やる事になった配信に向け準備を進める

最近忙しく､中々会えていなかった彼女に会いたいと思い
部屋は汚いが遊びに来てくれないかと声を掛けたのが数時間前
いつもなら部屋の掃除を済ませてから呼ぶのだがとにかく会いたいの
気持ちが強くごちゃ着いている部屋に無理やり呼び出したのだ
来て暫くはソファの下に座る彼女を抱き締め2人で映画を見ていたが
チカチカと点灯するスマホを開くと今夜配信やろうとメッセージ
ゲンナリしながら彼女にその事を話すとニコニコ笑顔で頑張ってと
言われてしまえばもうやる他無いだろう

酷く落ち込んだテンションのまま通話に参加すれば
メンバーから心配の声がでる。彼女と居たのに邪魔されたと告ると
お祭り騒ぎのようにからかってくるのだから腹が立つ

もちろん､配信中はテンションを切り替えいつも通りの振る舞いが
出来ていたはずだ。多分。多少違うかもしれない…。

はぁーっと配信を終え周りを片付けていればふんわり香る
醤油の焦げた匂い。ぐうぅと匂いにつられてお腹が鳴く
ご飯作ってくれたんだ！と部屋を開ければキラキラとした室内
ん……？キラキラとした？目を軽く擦り現実を見つめる
………いや､キラキラしてるは現実だはコレ。え？なんで？
ボーッと部屋を眺める俺にご飯食べる？と声をかけてくるA
あ､うん。と素っ気ない返事を返しダイニングテーブルに座ると
閃いたように口を開く

｢ねぇ､もしかして…部屋の掃除してくれたの？｣

｢ん？うん､お掃除したよぉ。Nakamu忙しいみたいだったから
少しでも力になれたらなぁってぇ｣

ちまこくてフワフワした話し方をする彼女だから
家事とは無縁だと勝手に決めつけていた過去の自分を刺したい
驚くほど見違えたリビングは埃一つ無いのでは？と思えるほど
綺麗になっている。その上机にある食事からは食欲をそそるいい匂い
早速頂くと､っあーコレコレ…こう言う家庭の味って美味しいんだよね
とホッコリするご飯の品々､食器を片付ければ水垢ひとつ無い
ピカピカのシンク…こんな綺麗なの入居時以来だ

｢お風呂も溜めてあるから今日はしっかり浸かるんだよぉ｣

ふわふわと微笑む彼女…………天使かな…？
ぎゅっと抱き締めれば苦しいよぉと声が上がる
そんなに喜ぶなら定期的にお掃除してあげよっかぁ？
なんて言ってきてくれてもう
同棲しようと言い放った俺を誰も責められないだろう

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