押してダメなら押してみろ。〈黄〉 (ページ31)

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junta side

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とりあえず近場のデパートに入って

適当に店内を回りながら

何をするか決めることになった。

映画館、カフェ、ショッピング…

割と何でも出来そうやけど

「さて、何しますか」

『淳太先輩は何がしたいですか？』

「え、俺？」

何がしたいかと聞かれると

何をするべきか俺もわからへん。

「映画、とか？」

いや、ほんまにわからん。

まず俺デートすらしたことないし。

『じゃあ映画館に「あれ、Aちゃん？」

突然、目の前のお店の中から

聞き覚えのある声がした。

『あっ、智洋先輩！』

緑「どうしたん、お買い物？」

『えっと、まあ、そんなところです』

デートですってハッキリ言うたらええのに。

ていうか、何でまたあの2年の奴がおんねん。

緑「あれ、もしかして先輩とお出掛け中か」

『私が強引に誘って、来てもらっただけなんですけど…(笑)』

緑「中間先輩、でしたっけ？良かったらここの店見ていきません？」

黄「いや、俺は別に」

『お店って、智洋先輩のですか？』

何となくこの智洋って奴から

早く離れたくて遠慮したのに

Aが見事に食いついてしまった。

緑「俺の知り合いの店なんやけどな、偶に手伝いに来させて貰ってんねん」

『へえ～凄いですね！』

緑「女性物のアクセサリーとかも置いてるから、Aちゃんも見て行ってや」

この智洋くんが誘い上手なのか

Aが誘われ上手なのかはわからへんけど

これはもう完全に二人の世界やな。

疎外感が凄い。

黄「俺はここで待ってるから、見て来てええよ」

『え、淳太先輩、』

緑「じゃあ少しだけAちゃん借りますね」

Aは智洋くんに連れられて

店の中へと入って行ってしまった。

恋愛下手な俺でもわかる。

智洋くんは多分、Aに気がある。

Aに対する態度とか

その近くに居る俺を見る目とか

対抗心かなんかでギラッギラしてるもん。

でもAは俺を好きなんやから…

って、何調子乗ってんねん俺。

勝手に勝った気になって、優越感に浸って

かっこ悪過ぎる。

Aが俺を好きで居続ける保証なんか

どこにも無いのに。

智洋くんからの好意に気付いたら

コロッとそっちに行ってしまうかも知れへん。

今日やって、ほんまはデートのはずやったのに。

「…黙って見てる場合ちゃうわ」

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