押してダメなら押してみろ。〈黄〉 (ページ23)

今日:17 hit、昨日:2 hit、合計:102,538 hit

story 23 ページ23

your side

.

紫「よっしゃ！しげ、リレーのアップ行くぞ」

赤「濵ちゃん勝負しようや！」

橙「俺も応援団に顔出してくるな」

『頑張ってください！』

お昼休みが終わって

皆それぞれグラウンドに戻っていく中、

私は淳太先輩とハチマキの捜索。

「で、どこで落としたん？」

『心当たりは色々あるんですけど…』

猛ダッシュしてる途中で落としたか、

智洋先輩のピアスを探してて落としたか…

『とりあえず、来た道を戻ってみます！』

中庭から1年生の教室までの道。

そう遠くはないから

落ちてたらすぐ分かるはずなんだけどな。

「ハチマキ落とすって、どんだけ走ったん」

『そりゃ、淳太先輩とのランチタイムですから！』

「その割には遅かったけどな」

『それは、人助けしてたんです！』

「人助け？」

あ、そうだ。

淳太先輩にはまだ智洋先輩のこと言ってない。

『2年生の先輩が落し物したみたいで、探すの手伝ってあげてたんですよ』

「それで今度は自分がハチマキ落としたんや」

『もう…意地悪言わないでください！！』

私がムキになると淳太先輩は

楽しそうに笑ってくれるようになった。

まあちょっと不満もあるけど

お昼休み前までの沈んだ顔より全然いい。

何より、ニコニコしてる淳太先輩は可愛いのです。

『あ、そうだ、淳太先輩』

「なに？」

『玉入れ勝負に勝ったら、私に何をお願いするつもりなんですか？』

さっきのお昼休み中、

勢いで言ってしまった玉入れ勝負。

私が勝ったらめでたく淳太先輩とデートだけど

もし淳太先輩が勝ったら…

「内緒」

『え、』

聞いたら案外サラッと言ってくれるかなと

思ったのに、これじゃ余計に不安になる。

もし、こう、

淳太先輩と距離を置かないといけないような

そんなお願いだったら…

「何考えてるんか知らんけど、別にそんな大したお願いするつもりないで」

『へ？』

「正直、何頼むかも決めてへんし」

『それならそうと早く言ってくださいよ…！』

でも良かった、一先ずは安心。

ていうか淳太先輩、私の心読めるのかな。

「ほら、早くハチマキ探すで」

『はい！』

玉入れの為にも、ハチマキは見つけなきゃ。

『目指せ、淳太先輩とのデート！！』

「うるさーい」

．