押してダメなら押してみろ。〈黄〉 (ページ2)

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story 02 ページ2

junta side

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「えっと、どちら様？」

昼休みももう終わるという頃。

食堂から教室まで帰ろうとしたその途中に

いきなり知らん女の子から声をかけられた。

上履きの色からして後輩。

しかも俺の2個下。

え、待って。最近入学して来た子やん。

『あ、AAです！1年です！』

「Aさんね、俺に何か用？」

『待って、名前呼ばれたどうしようやばい』

こっちは質問を投げかけてるのに

それを無視して突然のしどろもどろ。

会話が成立せえへん。

やっぱり苦手や。

「用が無いなら、俺もう行くで」

『あーすみません！』

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『あの、先輩のことが好きです』

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前言撤回、苦手を通り越した。

頭大丈夫か、この子。

いや、一応俺も恋愛経験がない訳では無いから

事の順序とか最低限のことは

大まかにでも理解してるつもりやったんやけど

初対面で普通告白する？

名乗って二言目には「好きです」って

「訳分からん」

『え、』

「あ、ごめん。つい本音が、」

『何でもハッキリ言っちゃう性格なんですよね、知ってます。大丈夫です』

「何でそんなことまで、」

いや、違う。話が逸れた。

…ツッコミたい部分は沢山あるけど。

「さっきの告白やけど、俺は君のことよく知らんからごめんなさい」

『知らないなら、これから知ってください』

「は？」

『何が知りたいですか？』

「え、いや、」

『ちなみに私は先輩の連絡先が知りたいです』

何やこの押しの強さは。

オブラートに包みつつも断ったんやで、俺。

ごめんなさいって言うたやん。

え、何、俺がおかしいの？

俺の感覚がずれてんの？

「あのな、まず初対面で告白するっていうのがおかしいし、俺にとって君は恋愛対象じゃないから」

あ、またハッキリ言うてしまった。

泣いたりでもされたらどうしよ。

『なら友達からでもいいので、連絡先ください。お願いします』

もうあかんわ、この子。

”キーンコーンカーンコーン”

そうこうしてる間に予鈴が鳴った。

でもAさんは俺を解放してくれへん。

意地でも俺の連絡先が欲しいらしい。

「あーもう分かった、電話番号でええの？」

『LIMEがいいです！携帯貸してください！』

こうして俺の連絡先は奪われた。

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