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第13話:親友の決意 ページ15

遊具の穴から月明かりが射し込む。先程まで弱々しかったその光は、今は文字が書けるほど明るくて。

狭い遊具の中から私の手を引き外へ連れ出したアイリスは、屈託のない目を得意げに細めて、無邪気な微笑みを浮かべる。


「……うん、決めた!私、魔法学校に入学する!」


茶髪のウェーブが光を含んだように輝き、肩まである髪が風になびく。白いフリルがついた服を着て、月明かりに照らされた彼女の姿はまるで私のために舞い降りた天使のようだった。

柔らかい表情が一転、きりりと引き締まった顔に変わる。


「オリヴィアは一人にするとすぐ喧嘩するし、不安だもの。」


魔法学校。
その名が表す通りその学校では魔法を使うための勉強をするのだが、そこに入学できるのは魔力階級、魔法使いだけだったはずだ。

いまいち状況を理解できていない私の顔を見て、アイリスは再びにこりと笑った。


「あら、オリヴィア知らないのね?
魔力量600以上の呪術師(アンシャンテ)は魔法学校に入学できるのよ!初等部だけだけど。」

「で、でもそれじゃあ……アイリスが学校で差別されるよ!」


私は彼女の言葉が嬉しい反面、不安になった。彼女の身が心配で心配で仕方がなかった。

魔法使いだけが通う学校に、呪術師が行く。幼稚園のみんなの対応を見るからに、アイリスが学校で差別されるのは明らかだったからだ。


「オリヴィアに世界のトップに立てだなんて大変なこと言ったんだもの。私もリスクを負う覚悟はできてるわ!」


私の心配をよそにアイリスは楽しそうに笑い、胸の前で右手の拳を握り、その拳でとんと心臓あたりを叩いてみせる。何かを覚悟した時の彼女の癖だった。

思えば彼女は昔から何があっても決してくじけない子だった。どんなに辛いことを言われても壁にぶち当たっても、いつも笑顔で乗り越えるそんな彼女をずっと側で見てきたのは他でもない、私だ。


「それに……何かあったらまたオリヴィアが守ってくれるんでしょう?」

「ほんと、アイリスの前向きさには敵わないや。」


彼女の決意の固さを知り、私も覚悟が決まった。魔力を知らされてからずっとモヤモヤしていた気持ちがスッと固まる。

魔法学校に通って誰よりもすごい魔法を使えるようになる。世界のトップに立って、それから階級なんて全部取っ払って、みんなが笑い合えるような世界にすればいい。


「アイリス、私たちで一緒に頑張ろうね!」


初めて誰よりも多い魔力に感謝できた気がする。

第14話:入学準備→←第12話:世界を変えちゃえ



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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時

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