No.70：消えない疑問 ページ32
体にかかっていた重みが急になくなる。同時に体の硬直も解け、あれだけ頑なに開こうとしなかった瞼も、すんなりと開いた。
まだはっきりとしない視界でヒソカを探す。すると彼はちょうどこちらに顔を向けていた。その顔は僕の返り血に染まっていて、目は硬く閉じられていた。そう、確かに目潰しは成功していたのだ。ならどうしてあの時、僕は彼に捕まってしまったのか。それだけがどうしても分からなかった。
ヒソカは、まるで僕が彼の方を向いていると知っているかのように、ニコリと笑い、立会人に向かって軽く手を挙げた。
「まいった、ボクの負けだよ♦」
そしてなんと自ら負けを宣言したではないか。さらに理解できないことにヒソカは、状況をつかめず動けないでいる僕のことを抱き上げた。
「なっ！ ……はな、して！」
「それだけ血を流したら、動けないだろ？」
慣れない浮遊感に体を捩ると、落とさないようにと横抱きにされる。先ほどまでのヒソカとは別人すぎて、これはこれで怖い。
「ほら、彼に治療してもらいな♠」
彼はそのまま歩みを進め、僕をレオリオの前で降ろす。僕の頭をくしゃりとひと撫でしてから踵を返し、側から離れていく。最初から最後まで目が見えているかのような行動だった。
「おい、A！ A、しっかりしろ！」
「あ……だいじょうぶ。……なんか、さむい、けど。」
もう何が何だか分からなくて呆けていたら、レオリオが必死の形相で僕を呼んだので、意識を戻した。いつも持っていた医療箱をひっくり返すようにして治療に当たってくれる彼がとても頼もしく、かっこよく見えた。
「チッ、出血量が多過ぎる。なんであんな無茶したんだ！」
「怒鳴ってどうする！ Aは怪我人なんだから。」
左腕の付け根を固く縛り、切り裂かれた傷口にガーゼを当てて止血してくれながら、レオリオが声を荒げる。
それをクラピカが諌めるように間に入ってきて、自分が着ていた上着を僕に掛けてくれた。
そうこうしているうちに医療班がやってきて、僕を医務室に連れて行こうとしたけれど、少しでも長くこのハンター試験で出会った人たちといたかったから断った。
今回の試験が終わって仕舞えば、僕は家に帰らないといけないのだから。
第５試合目はキルア対ポックル。キルアはポックルと戦う気がしないという理由で開始早々離脱。ポックルが勝った。
第６試合目はヒソカ対191番の白髪の老人ボドロ。圧倒的な力の差を見せつけ、ヒソカが勝った。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
