No.68：飛び散る鮮血 ページ30
敵に背中を見せること、それは死に直結する。ヒソカに背中は見せられない。
試合開始の合図とともに、地面を思い切り蹴って後ろに下がった。蹴り飛ばした際、床に大きなヒビが入り砂埃が舞った。普段は足音を消すために抑えていたものも全部解放した初動は、僕が今出せる全力の速さだった。この速さなら、さっきのハンゾーにだって追いつかれる気がしない。
「あれれ、鬼ごっこでもするのかい？」
だけど、ヒソカには通用しない。動きに緩急をつけて、所々の床を蹴って方向転換しながら回ってみたけれど、ぴったりと距離を離しもせず詰めもせず、同じ間隔で追ってくるヒソカ。完全に遊んでいる。
逃げるのをやめ、攻撃に切り替えた。愛用のナイフを念で覆い強化してからヒソカの首目掛けて斬りかかった。
「Aからボクの胸に飛び込んで来るなんて、随分積極的じゃないか！」
ナイフはヒソカの左手のカードによって受け止められ空いた右手で、僕の左手首を掴まれ、その勢いのままぐいっと引き寄せられた。
このままヒソカに抱きとめられてしまうワケにはいかない。引き寄せられた勢いを利用して体を捻り、彼の顔面に蹴りを入れた。勿論、それだけで左手を解放してもらえるわけもなく、仕方ないので無理矢理手首を捻って拘束を緩め、手を引き抜いた。
「くっ、ぁ、このっ！」
あり得ないほどの力で掴まれていた左手首は、無理に捻ったせいで変な方向に曲がってしまっていた。
「あらら、左手壊れちゃったねぇ。」
体を支配しようとしてくる痛みを無理矢理抑え込んで、再び距離を取ろうと後方に飛ぶ。
「ふふ、また鬼ごっこかい？ 逃げても無駄なのに。」
勿論ヒソカは引き離せるワケもなく、等間隔で付いてくる。
そこで僕は次の踏み込みを逃げるための方向転換にではなく、まっすぐ彼に突っ込んでいくために使った。
そして再びナイフを構え、突進するようにヒソカに突っ込む。
「また同じ手かい？ 芸がないね♣」
彼は僕がもう諦めたと思ったのか。まぁ、正直理由は確かではないが両手を広げて僕を受け止める準備をしていた。
僕は右手に持ったナイフを振りかぶり、ヒソカの顔面目掛けて振り下ろした。
「っ！？ ……A、何したんだい？」
「っ、は、あは。……ヒソカは、コレ、好きでしょ？」
あたりに飛び散る鮮血。ヒソカの顔は紅く染まり、床は血に濡れている。
僕の左手からは真っ赤な血が絶えず溢れ出していた。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
