No.63：まっすぐな彼 ページ25
島全体に響き渡るような大きさで船の汽笛が鳴る。続いてアナウンスで四次試験終了の知らせと、スタート地点に戻るようにと言う指示が流れる。
あれからすぐ仮眠をとったキルア。彼は日が昇り出してすぐ目を覚ましたが、お互い昨夜のことが気まずくて会話ができないままでいた。
そんな中、集合の合図がかかったものだから結局まともな会話は交わせぬまま、二人でスタート地点まで向かう。戻ってきたのは僕を合わせて十人。四次試験開始時には二十四人いた受験生も半分以下に数を減らしている。
ハンター協会が所有する飛行船が島まで迎えにきたので、それに乗り込む。
特に審査員側から指示はなく、残った十人は各々自分で時間を潰す。僕らは気まずさで一緒にいても会話が起きないため分かれて、飛行船の中を一人で歩いていた。
二次試験後に三人で歩いた道を通るたび、今が少し寂しく感じる。
あてもなく歩いていると前方に見知った二人の姿を見つけた。そのうちの一人が僕の姿に気づいたみたいで、こちらに向かって手を振ってくる。
「あっ、A！ 四次試験クリアできたんだね！」
「うん！ ゴンもクラピカもクリアおめでと。」
その二人はゴンとクラピカで、何やら二人で話していた様子。ちょうど僕がきた時に話は終わっていたみたいだ。
「A、さっきまでキルアと一緒じゃなかった？」
「あー、四次試験中も一緒にいたんだけどね。なんかちょっと一人になりたくて。」
ゴンは僕に自分の隣に来るように手招きで促してから、きょとんと首をかしげた。
キルア、という名前が出た瞬間、昨夜の出来事が頭によみがえって胸が苦しくなる。普通を装って返事を返したが、心はキルアに対する罪悪感で埋め尽くされていた。
「そーなんだ！」
僕の心境などつゆ知らず、ゴンは無邪気な顔で笑う。そんな彼を見て、彼ならばキルアの言葉に、なんで返すのか気になって、問いかけてみる。
「ゴンは……僕のこと友達って思ってくれてる？」
「え？ 当たり前だよ！ 俺とAはとっくに友達でしょ！」
一点の淀みもない瞳で見つめられる。友達、の言葉に動揺してキルアの言葉に何も返してあげられなかった自分とは大違いだ。
ゴンのことならこう言うと、自分との違いに辛くなるだけだと、分かっていたのに。
「……そっか。そういえば僕、用事あったから行くね？」
彼は何も悪くないのに、僕がここに居づらいからなんて自分勝手な理由で、話を切り上げてその場を後にした。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
