No.61：交換条件 ページ23
ゼビル島の奥深くの森の中で対峙するキルアとそのプレートを狙う三人兄弟。僕はそれを気配を消して見ているという妙な構図。
そんな中、長男と思われる199番の口から出たのは、なんと56番のプレートを持つ僕の話。
まさかすぐそばに隠れている時に自分の話題が出るなんて思っても見なかったので、少しだけ驚いた。
「俺が56番と一緒にいたからなんなワケ？」
僕のことが話題に出てから少しだけ不機嫌そうなキルアは、それを隠そうとせず、声のトーンがいつもより下がっていた。
「そう怒るなよ。実は56番が俺の獲物なんだよ。
居場所を教えてくれればお前のことは見逃してやる」
そして、199番の口からその言葉が出た瞬間。背中がぞわりと凍りつくような殺気がキルアから溢れ出した。
「ふーん。俺も舐められたもんだね」
それからは一瞬だった。キルアは僕の目でやっと認識できるぐらいの速さで動き、３人を気絶させ、それぞれのプレートを奪い取っていった。
彼はその内、199番のプレートだけをポケットにしまい、あとの２つは反対方向に投げ飛ばす。
「別にAならこんな奴ごとき余裕だろうけど。
それでもなんか、教えたくねぇんだよな……」
そうしたあともう一度地面に伏した男たちを見やってから、ぽつりと本当に小さな声でそう呟いた。
こんな周りが敵に囲まれた森の中で、あれだけの殺気を出すのは自分の居場所を知られてしまうリスクがあるのに、僕のためにあんなに怒ってくれたという事実が素直に嬉しかった。
そのまま気絶した男たちに背を向けて歩き出した彼に、気配を消したまま追いついて肩を叩いた。
「キルアみーっけ。お兄さん、隙だらけですね？」
「っ……くそ！Aかよ！まじでびびった！
てかお前、いつからいたんだ？」
「えー、いつからだろ？ちょっと分かんないなぁ」
「あっ、てめ！しらばっくれやがって！
まさかさっきの聞いてないよな！？」
背後から肩を叩くと彼は敵か何かの襲撃とでも思ったのだろう。面白いくらい驚いて見せた。だけど犯人が僕だとわかると一気に警戒を解いて、険しい顔を一変させた。
その顔を見ると、僕は彼が言っていた言葉を思い出してしまい少し照れくさくなって、それを隠すためにおどけて見せた。
森の中だというのにわーわー言い合いながら歩いたり、追いかけっこしたり。
隣を歩くキルアを追い越して立ち止まる。
「ねぇキルア。……ありがとね」
振り返って見えた彼は照れ臭そうに俯いていた。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
