No.58：情報収集 ページ20
ゆらゆらと波に揺られて左右に動く船の中で青空を見上げる。時間の流れをゆっくりに感じさせる速度で流れる雲、集団で鳴きながらどこかへ向かう鳥たち。
僕は今、ゼビル島へ向かう船の中で一人の時間を過ごしていた。
それというのも、試験内容の発表があってから残った受験生達はみんな誰かに狙われる恐怖からか張り詰めた顔をして黙り込んでしまったからだ。ゴンとキルアも例外ではなく、ちょっと2人の近くに行ける雰囲気ではなかったため、今は1人で船の壁に背をつけて空を見上げている真っ最中。
「よう、A。 ……隣、大丈夫か？」
しばらく時間が経って、もう少しでゼビル島に着くという時にキルアが話しかけてきた。
「ん、大丈夫だよ」
少し神妙な顔つきをしている彼の顔を少しだけ見上げてから、彼が座りやすいようにスペースをあける。
隣に座ったキルアはまた黙り込んでしまい、僕から何かはなしたほうがいいのかなとか考えているうちに、彼の方が先に口を開いた。
「なぁ、お前は何番引いた？」
「僕の
彼がここにきた理由、それはおそらく情報収集のためだろう。彼もゾルディック家の暗殺者であるし、自分の周りの情報を集めようとするのはこぐ自然なことだ。
僕は今回の四次試験の内容から、簡単にクリアできると思っているし、既に獲物を特定できていることからくる安心感もあった。暗殺者であるという立場上、孤島での試験は自分の姿を認識させずに秘密裏に仕事をする僕にとって最高の舞台だった。
だからこそキルアに自分が持っている情報を明かすのに躊躇わなかった。けれども、彼も同じであるとは限らないので、言ってしまってからチラリと彼の顔色を伺った。
「A……もちっと俺を疑えよ。
大丈夫、俺が引いたのは199番。お前じゃない」
僕が簡単に自分の獲物を教えたからか、キルアは少し気が抜けたように笑った。あれからずっと張り詰めていたのだろう。彼は隣に座ってから初めて力を抜いた。
「キルア、ずっと警戒してたでしょ？
だからその警戒を解いてもらいたくて」
そんな彼を安心させるよう僕も力を抜いてへらりと笑う。
「……キルア、199番が誰かは知っているの？」
「それがさ、全然分かんねえんだよなー。みんなプレート隠しやがるしよ」
力を抜いたキルアはさっきまでと打って変わって弱みを見せてくれる。
その態度に彼が少なくとも僕のことを信頼してることが分かって嬉しかった。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
