No.53：最後の試練 ページ14
中央に集まったのは気配からするに十数名程度であろう。その集団に向けて針の人が武器を構える。
彼から発せられた殺気を感じ取ったのだろうか。試練官の一人が制止の声をあげた。
「武器を下ろしてもらおう。今から試練の説明をする」
試練官は、その声に仕方ないと言った風に武器を元の位置に戻した針の人を確認するとまた口を開く。
「君達には今から私たち全員の相手をしてもらう。ただし、戦うのは君達のうちの１人だけだ」
「……協力の道、なのに最後は単独なの？」
今までの試練のから大きくずれた仕様に、僕は抱いた疑問をぶつける。
すると試練官は僕を小馬鹿にしたように嘲笑って続けた。
「良いかい？協力と依存は違うんだ。隣の彼に任せっきりで試練をクリアしちゃあ駄目だろうよ、お嬢ちゃん」
その言葉の後に残りの試練官もゲラゲラと下卑た笑い声が部屋に響く。
どうやら彼らは僕が今まで針の人に守られてばかりだったと思っているようだ。確かに僕は彼より実力は劣るし経験も浅いだろうが、決して任せっきりにしてた訳ではない。
「まっ、と言う訳で俺はお嬢ちゃんを指名したいんだがどうだい？」
何も知らない試練官にそんな事を言われたのが悔しかった。何よりそう思われてるって事は彼らは僕の事を弱い女の子だと舐め腐っている証拠だ。
「……君に、任せるよ」
隣に立つ針の人の意思を聞こうと見上げると、ぎこちない喋り方だけどそう言ってくれた。
意見を尊重してくれた針の人のことをありがたく思いながら、僕は懐から愛用のナイフを取り出した。
「……いいよ、お兄さん。僕とやろう？」
「ほぉー、良い度胸してるねぇ。よし、じゃあ始めるぞ！」
試練官が合図すると集まっていた気配が部屋中に散らばる。それを確認した男が１０からカウントを始めた。
偉そうに喧嘩を買って置いて難だけど僕は真っ向からぶつかる『戦闘』が得意じゃない。だからこの人数相手にまともに戦闘すると時間がかかる。
「３、２、１……始め！」
開始の合図と共に地面を強く蹴って踏み出す。まずは身近にいる男の気配の元に飛び込む。
完全に油断している男の首をナイフで跳ね飛ばしてから、男が持っていた武器を奪い取り、この部屋を心許ない光で照らす照明に向けて投げた。
バリィンと心地いい音が響いて、部屋は完全に暗闇に包まれる。と同時に自身の気配も消し去る。
これで男たちが僕の姿を確認する術はなくなった。
『暗殺』なら、得意だもんね。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
