No.65：プライドとの戦い ページ27
試験内容の説明も終わり、黒いスーツを身に纏い、これまた黒いサングラスをつけた男が第１試合目の組み合わせを読み上げる。
「第１試合、ハンゾー対ゴン！」
黒ずくめが挨拶を済ませてすぐ試合が始まるかと思ったが、ハンゾーと呼ばれたハゲ頭が立会人と話し始めてしまう。
「勝つ条件は『まいった』と言わせるしかないんだな？」
やっと長話が終わったと思いったら、ハンゾーが立会人に最終確認をとる。その言葉を立会人が肯定するのを聞いてから、ようやく試合が始まった。
ハンゾーとゴンは互いに向かい合い、適度な感覚を取っている。緊張が走るその空間に、立会人の声が響いたとき。
「それでは、始め！！」
素早くゴンがハンゾーから距離をとった。彼の足は速い。自然の中で生きて来て身につけたであろうその速さは大きなアドバンテージになるはずだった。
ただ、彼は運が悪かった。たまたま、そう、たまたま当たった相手が彼より上の実力を持っていたのだ。彼の成績がもう少し悪かったら、対戦相手が変わって楽に勝ち抜けていた。
「子供にしちゃ上出来だ。」
試合開始の合図から数秒後、ゴンの体はハンゾーの手刀により冷たい地面に沈んでいた。
まともな対人戦の経験がないゴンと、おそらく相当な戦闘訓練を積んで来たハンゾー。その差は一目瞭然だ。ハンゾーは自身の力で動けないゴンの体を起こし、ゴンにギブアップするよう求める。
今この状況で最善の手は、さっさと諦めること。どう考えてもゴンに勝ち目はないし、このままやれば後の試合にも影響が出てしまう。それにもかかわらずゴンは耐え続け、ハンゾーは勝つために彼をいたぶり続けた。
ハンゾーの与える打撃は、僕が拷問訓練を受けた時のそれに似ている。直接の死因になることはないが、確実に脳を痛めつけるための殴り方。相手の精神を折るためのもの。あれを耐えられるようになるのには随分時間がかかった。
「ゴン！！無理はよせ！！」
見かねたレオリオがゴンに声をかける。プライドは傷付くがここは引け、と。ゴンの悔しさを分かった上で叫ぶ。
だがゴンはその言葉に耳を傾けることなく、一方的に殴られ続けた。
それから3時間ほど経過しても、彼は諦めなかった。相変わらずハンゾーはゴンをいたぶり続けていたが埒があかないと思ったのか、ゴンをうつ伏せに押さえ込み左腕を掴んだ。そして腕を折るぞと脅す。
最後のチャンスを捨て、嫌だと叫んだゴン。
ボキりと鈍い音が広間に響き渡った。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
