In the storm 6

273 ページ23

.







お姉ちゃんが迎えにきて、病院に行くまでの間安心したのか私は後部座席でいつのまにか寝てしまっていた








その間に夢を見た



誰かに優しく頭を撫でられていて






私は…笑ってる？それとも泣いてる？






それさえもわからない、そんな夢






でも一つだけ
私の頭を撫でる大きな手は心地よくて





私はその手の温もりを知ってるはずなのに思い出せない…誰の手だっけ









『A、病院ついたよ』




目を開けると運転席から身を乗り出してるお姉ちゃんにユサユサと揺らされ
結局誰だかわからないまま夢から目が覚める

身を乗り出すお姉ちゃんの後ろからチョコっと顔を出すのは大我


大我「も〜！本当に俺の事心配なの？安心しきった顔して寝ちゃって！」


『あんたも寝てたでしょ！』


大我「俺は病人だからいいの」


『それをいうなら怪我人ね』



相変わらずな小競り合いが始まって私はそれを微笑ましく見ていた



病院で軽い検査をしてもらった大我は、何とも異常がなくそのまま帰宅できることになって

帰り道は大我も一緒に後部座席に乗り込んで2人で話しながら帰った




大我「たいいくさい、終わっちゃったね」




車から見えるのは綺麗な夕日で

今頃皆は勝っても負けても打ち上げだなんだって盛り上がってるところかな？





大我「ごめんね」


「大我のせいじゃないよ。それにもしもの事があって大我がいなくなっちゃう方がヤダ」


大我「何かあったとしても、Aがチューしてくれたら目覚めるかも」

「それ逆じゃない？普通王子様のキスで…」




なんだか墓穴を掘ったような気がしてハッと大我の方を見るとニヤケ顔





大我「さっき寝てたのってそれ期待してたの？」

「ばかばかばか！そんな訳ないじゃん」

大我「もう一回寝ていいよ？何なら寝たフリでも俺は気づかないフリしてあげる」

「絶対寝ない、絶対起きる」






『イチャつくのはいいけど私いること忘れてない？』





バックミラー越しに私たちを見るお姉ちゃんは呆れた顔をしていた


「イチャついてなんかないもん！大我が勝手に！」

大我「ほんとカスミ空気読んで」

『もう、勝手にやって』


お姉ちゃんは車の音楽のボリュームを上げてまるで私たちがいないかのように1人で歌い出す


「大我のばか」



お姉ちゃんには聞こえないくらいの声で大我を睨むといたずらに笑う




それからバックミラーからは見えない場所で
大我は私の手をギュッと握った






.

274→←272 Your side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す