In the storm 6

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保健室のベッドに大我を降ろしたあと
弟のいる樹は、怪我の手当てにも慣れていて救護席にいる保健の先生の代わりに擦り傷の治療をしてくれた




「樹、お母さんみたい」

大我「こういうの普通Aがやってくれんじゃないの〜」



私もどちらかといえば小さい頃お姉ちゃんに手当てしてもらっていたタイプだし…樹が器用にパパッと手当てをするから私の出る幕なんてないみたい





樹「ほらきょも、次背中向けて」


大我「適当でいいのに〜」



「あ、じゃあ私は荷物とか持ってくるね」


大我「ありがとー、助かる」




そういって保健室から出てから少し歩いたところ







私は力が抜けたようにその場に座り込んだ









人だかりの真ん中、動かない大我は怖いくらいに白く綺麗でまるで人形みたいで








怖かったんだ







このまま大我がいなくなっちゃうんじゃないかって








「良かった…」






今になって襲ってくる恐怖に震えて、荷物を取りに行かなきゃいけないのにその場から動けない
大我から預かったままのタオルをぎゅっと握りしめる









ああ、こんなところは誰にも見られたくないのに









北斗「A…」









やっぱりそんな私をいつだって北斗は見つけてしまう









「北斗…」



北斗「京本、大丈夫？荷物持ってきたんだけど」

「ありがと、今私が取りに行こうとしてたの。大我は樹が怪我したところ手当てしてる」




北斗「そう…」





ぺたんと座りこむ私の隣に座る





北斗「お前は大丈夫？」







優しくしないでほしい
きっとまた傷つけてしまうから



ねえ、そうやって思うのに


それでも甘えてしまうんだ



「…こ…かった」



北斗「ん？」







「怖かったよ…」







その優しい目に
その大きい手に

北斗のあったかさに




なんだか安心した


さっきまで必死すぎて張り詰めてた糸がピッと切れたみたいに私は涙をこぼす






北斗は無言のまま




『次の100m走に参加する人は召集場所に集合してください』



少し遠くの方で聞こえるアナウンスと、私のすすり泣く声が廊下に響いた






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