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「……聞こえなかったんだけど」
少し間があいて、ドライヤーの音が止まる
大我「一回しか言わない約束だから、もう言わないよ」
「大我の声が小さいんだよ」
大我「ほら、髪乾いたよ」
私の背中をポンと叩いて
大我「ねえ次俺の番」
私にドライヤーを手渡した
ごめんね、大我
嘘ついちゃった
本当はね
聞こえちゃったんだ
大我が言った、ふた文字の言葉
だけど臆病な私はまた聞こえないふりをしたんだ
大我が一回しか言わないっていうならさ
今はまだ聞こえないふりをさせてほしいんだ
「交代ね、下座って」
半分乾いてる大我の髪に触れると
おさまった筈の心臓の音がさっきより大きくなった
私の好きな大我の髪
ドライヤーで髪を揺らせば
同じシャンプーの匂いがして
恥ずかしくってたまらない
前よりも少し色味が違う？
また染めたのかな
「月みたい」
小さく呟くと
大我「なんてぇ？」
さっきとは逆に大我が私の言葉を探る
「き、ん、ぱ、つ、だ、さ、い」
大我「こら！悪口かよ！」
足をペチッと叩く
大我「人に乾かしてもらうのって気持ちいいんだね、犬になった気分」
「大我が犬だったらすごい高そう」
大我「Aはバカ犬そう」
「こら、悪口かよ」
相変わらずの憎まれ口
大我「うそだよ、きっと可愛いワンちゃんだよ。あんずの次にね」
「いつまでたってもあんずちゃんには勝てないね」
半分乾いていた大我の髪は
もう、あと少しで乾かし終わりそうなのに
「…た〜いが」
名前を呼ぶ、私の声を
ドライヤーの音がかき消す
大我は少し眠そうにウトウトしていて
ほとんど聞こえてないみたいで
「なんか言った？」の返事も無くなった
今なら何言っても聞こえないのかな…
そう思ったら
大我が言ったあのふた文字の言葉がよぎって
抑えきれない感情が溢れてきそうで
だけど私は
「大我！乾かし終わったよ！」
臆病だから
大我「うわ！俺寝てた？」
大きな声で大我を起こした
「ヨダレたらしてたからヨダレまでドライヤーで乾かしてあげた」
大我「うそだ絶対それはうそ！」
大我がくれたふた文字の言葉
言えない、その言葉は
ドライヤーの音がかき消す事もなくて
私の中にくすぶったままだ
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無名ちゃん(プロフ) - ポップコーンさん» ありがとうございます(^^)なかなか進まない展開で申し訳ないですが、楽しみにしていただけると嬉しいです(^_^) (2018年11月26日 14時) (
レス) id: 212194d3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ポップコーン(プロフ) - 切なくて切なくてもどかしくてもどかしくて…ここからの展開が楽しみすぎて夜も眠れません！ (2018年11月24日 17時) (レス) id: af868719a5 (このIDを非表示/違反報告)
無名ちゃん(プロフ) - 紫央さん» コメントありがとうございます(^^)そう言ってもらえると励みになります！頑張ります(^^)これからも楽しみにしていただけると嬉しいです (2018年11月20日 13時) (レス) id: 212194d3a4 (このIDを非表示/違反報告)
紫央(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！！最近占ツク見てなかったんですけど、急に占ツク開きまくるようになりました笑笑更新これからも頑張ってくれたら嬉しいです！！ (2018年11月17日 23時) (レス) id: 18d2042c72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無名ちゃん | 作成日時：2018年10月3日 21時
