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コンサート終了後に帰ってきた私のペンライト。と紙切れ1枚。
紙切れはすぐにポケットに捩じ込んで、会場を後にした。
アスミはまだ挨拶できてない方がいる！と意気込んで出ていってしまったから、あとで合流する予定だ。
グッズと自分の鞄を持って、駐車場へと歩き出す。
10分ほど歩けば自分の車が見えてきて。
どうせすぐは戻ってこないだろうし、と車に乗り込み荷物と交代で灰皿を手にまた外へ出てから煙草に火をつける。
ひと仕事終えたあとの煙草ってのはなんでこんなうめぇんだ！と叫び出しそうな気持ちを落ち着けてぼーっと空を仰いだ。
視界の端に同じような紫煙が見えて、この方ももしかしたらあの会場に居たのかな？とちらりと盗み見た。
え？なんで目合うの？怖くない？怖い。
たまたまにしてはがっつり合うし、まだ見てるし……なに？
あ、もしかしてまたあれ？未成年だと思われてる？
だとしたらどんだけ正義感が強いんだ。
「私、未成年じゃないですよ。」
一応、声をかけると首を傾げる男。
伝わってない？疑われてる？車の運転は十代でもできるし、とか？
財布から免許証を取り出し本日二度目の大人の証明。
ぐぐっと近づいて目を凝らしてる。
あ、住所とか諸々！と思ってすぐにしまったけれど。
「コンサート、きてくれて、ありがとございます。」
どこかイントネーションが独特な話し方。
低くていい声。
笑うと目がなくなるこの人は、さっきまでステージの上でニコニコしていた…？いや、名前まで知らないけど。
「さっきの！え！こんな所危ないですよ。早く戻らないと。」
早口で捲し立てたせいか、ぽやんと頭にハテナマークが浮かんでいるのが見える。
「‘’ファンの方が来てしまいますから、早急に戻った方がいいですよ。”」
仕方なく脳内の奥の方から言葉を引っ張り出してくると、見開かれた瞳。
「‘’韓国語お上手ですね。今日は本当にありがとうございます。ところで、適当に歩いてきてしまったので戻り方が分からず、煙草以外持ってなくて……”」
眉が八の字に垂れてしまって、ちょっと可愛いとか思ったり。
で、なんだ、戻るのに案内して欲しいとか？いやいや、一緒に歩くとか危険すぎる。
「‘’だから、ちょっとだけ携帯の地図を見せて貰えませんか？”」
あぁ、なるほど、と。
ちょっと待ってのジェスチャーをしてスマホを取り出した。
マップ画面を開いて手渡すと食い入るように見て、時折指で触っている。
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作者名：ヨシハラ。 | 作成日時：2019年10月16日 0時
